14分の2
今日は2/14、バレンタインの日だ。
パーティーピーポーな奴らはそう騒ぎ立て女子からチョコをねだる、そのような記念日らしいが俺にとってはただの平日にすぎないし、チョコを貰いたいとも思わない。
だからといって、バレンタイン撲滅運動に参加しようとは思わない。
ただただ普通の日々として過ごそうと思う、てか今してる。
もっと言えばもう１日も半分終わった。
教室内ではチョコを貰ったのだろうか、鼻の下を伸ばしている野郎がなんと多いことか。
「うっす。」
ふて寝していた俺の頭上から腹立たしい声が聞こえる。
「よう、岩田。無駄に元気だな。」
「そう言う河井はチョコ貰え無くてすねてんのか？」
「ここが日本じゃなかったら、今頃お前の脳天に鉛がぶち込まれてんぞ。」
「いやいや、なんでだよ。」
･･･見るからに岩田は女子にチョコでも恵んでもらえたのだろう。
いや、別に羨ましいとか思ってはいない。
ただただ本命でも何でもないチョコに騒いでるのが、馬鹿馬鹿しいと思っているだけだ。
•••
昼の授業も終わり、帰りのホームルームも終わったのでそのまま家に直帰する。
なんだかんだあったが今の今までチョコを貰えなくて悔しいとか、逆に岩田の方が沢山貰ってて妬ましいとか、全然思ってない。
校門を遠り過ぎようとしたその時、
「あ、河井くーん。」
同じのクラスの･･･あれ、名前が出てこない。
種類は天使っぽいあれで、えーと･･･。
「え、ああどうも。何か用か？」
「まぁ、ちょっとね。」
歯切れも悪く、顔も赤面させ、なぜかモジモジしている。
「なんだよ。」
「いやー、河井くんってさ、チョコ貰ってないらしいじゃん？」
「ぐっ。」
傷をえぐってきやがった。
チョコの1つも貰えない俺は、リア充派の彼女には滑稽に見えているのだろうな。
「そうだけど、だからなんだよ。」
「ええとね、それでさ、もし良かったらでいいんだけどさ。」
そう言って彼女がスクールバッグの中をまさぐっていると。
「あー、いややっぱり何でもないや。」
「えっ、ちょっ。」
「じゃあねー、また明日ー。」
スタスタ去って行ったんだが。
え？あの流れってチョコ渡されるんじゃないの？
…無いの？最後の最後でオーバーキルされたんだけど。
死体蹴りされたんだけど。
なんなの、俺悪い事した？えぇ？
しばらくの間、俺は立ち尽くす事しか出来なかった。
・・・
「はぁー」
枕にため息が沈み込んでいく。
ため息1つで幸せが1つ逃げると言うが、気にしてられない。
あれから私はすぐに帰ったが、未だに驚きを隠せない。
「まさか売約済みとはねー。他の女の子の匂いが全くしなかったけど、あそこまで殺意飛ばされたら、チョコも渡すに渡せないってーの。」
寝返りをうっても、ぬいぐるみを抱いてもは紛れる事はなかった。
「ま、どうせみんながみんな彼氏持ちじゃないから構って貰おうじゃないか。」
そう言って彼女はスマホに手を伸ばした。
・・・
あの後俺は瀕死状態の中、やっとの思いで家に着いた。
両親は共働きで、家の中には俺の傷を癒やす物はなかった。
「ぐえぇぇっ。」
ただいまを言う気力も無く、玄関に倒れ込む。
・・・
ピンポーン。
インターホンの音で目覚める。
やべっ、ガチ寝してた。今何時だろうか。
ピンポーン。
「あー、はーい。」
ひとまずは、今すぐに家に来ている人に応答しないと。
ドアノブを回して開ける。
「どうもニコニコ宅配便です、荷物をお届けに参りました。」
「あっ、どうも。」
この期に及んで、もうチョコなど期待していない。
うん、もう部屋に戻って二度寝しよう。
にしても、少し大きめの荷物が届いたなぁ。
「さほど重たくないので、気を付けないでください。」
「えっ、はい。ありがとうございます。」
そうして、手渡しで荷物を受け取ろうとすると。
「いや、重たいって、これ！」
「別に重たくないですよ？」
「いやいや、ちょっとは重たくなかったんですか？」
「その荷物は重たくないですよ？」
「あぁ･･･はい。」
なぜか重たい物を重たくないと、言い張る宅配便はさておき。
「この荷物何？」
その疑問は隠せなかった。
ふらつきながらも、やっとの思いでリビングに着き、開封してみた。
すると。
「ハッピーバレンタイン！！」
中からは同じクラスのワーウルフ？の･･･草香さんだっけ、が飛び出てきた。
裸姿にリボンを巻き付けて。
「･･･。」
突然の事が起きて、頭の回転が追い付かなかったので、ひとまず蓋を閉めた。
「どうですか？河井さんって、ちょっと閉めないで押さえ付けないでー。」
これでよしと、さぁ一旦考えよう。
重たい荷物の中に草香さんが入っていた、裸にリボンを巻き付けて。
よし、いい具合に頭が痛くなってきた。
･･･え、裸にリボン？
「河井さーん、開けて下さーい！」
「え、あの草香さん？」
「はい、なんでしょうか。」
「色々と質問したいのですが、えーと、まず服は着てますか？」
「着てないよ。」
激しい頭痛が襲う。
え、何この人、馬鹿なの？
「それは何故に？」
「いやー、バレンタインは男の人に裸リボンが1番かと思ってさ。」
これはひどい。
「あのー、パーカーか何か持ってくるので、着替えて貰いませんか？」
「えー。」
愚痴をこぼしているが、気にしていられない。
早速探しに行かないと。
・・・
「確か、ここら辺に、俺のパーカーが、あったような。」
俺の部屋のタンスを探る。
「おお、あったあった。」
今すぐ渡しに行こうかと、後ろを振り返ると。
「･･･えーと。何をしてるんですか、草香さん。」
「え、ああ。別にー。」
裸リボンのまま、俺の部屋の入口まで入って来ていた。
さっきはしっかりと見れて無かったので、まじまじと見させてもらうが。
「もー、何よ。」
本当に宗と秘部しか隠れておらず、かなりエロい。
「寒そうだから、パーカー着て貰えます？」
「えー、悩殺してたのにー。」
効果はバツグンでしたから、早く着てください。
草香さんは渋々パーカーに袖を通した。
「あの、ドア付近で何してるんですか、入ってきて下さいよ。」
「はーい。」
がちゃり、ドアが閉まる。
「おっきいね、これ。」
「まぁ、俺の服の中で一番デカい奴ですからね。」
そう言ってた草香さんは下を見ていたが、気にしないでおこう。
「それで、何しに来たのですか？」
「チョコ渡しに来たんだよ。」
「えー、それでは何故に裸にリボンなんですか？」
「それは私がバレンタインのプレゼントだからだよ。」
お、おお。困惑を隠せない俺がいる。
「そう言う事は面白半分でやるべきではないかと思いますが。」
「なんでー？」
首を傾げて聞いてくる。
だから、そう言う動作はダメだって。
「好きな人以外にやると勘違いされますよ。」
「大丈夫だよ、河井くんの事好きだからさ。」
え？今なんて？
「え？今なんて？」
動揺し過ぎて本音が出てしまった。
「だから、河井くんの事好きだって。なんなら今すぐ娶(めと)っても良いよ？」
一瞬、言葉が理解出来なかった。
え、草香さんが俺の事好きって？え？
「いや、でも、なんで俺なんかを好きに？」
「んー、一目惚れ。入学式の時からずっと好きだったよ？」
かなり前から俺の事を好きになっていた。
その事実を知っただけで、鼓動が更に高まっていく。
「今日も私達しか居ないからさ、ちょっとヤっちゃう？」
草香さんの右手をよく見れば人差し指と中指の間に親指が挟まっている。
「流石にそれは、って、親がいないってなんでそれを。」
「好きな人の事を知りたいってのは当然でしょ？」
「いや、でもその理由だけでヤるのはちょっと･･･。」
少しだけ距離を置く為に後ずさる。
しかし、後ずさった分草香さんは詰めてくる。また後ずさる、しかし詰めてくる。
ちょっとだけ待って下さい！
そう言おうとした、しかし草香さんは飛び込んできた。
「うわっ！」
驚いて尻もちをつき、草香さんはその上に乗っかってきた。
「何をするんd･･･んんっ！」
草香さんと俺はキスをしていた。唇と唇が触れ合うだけのキスではなく、舌を絡め合うキス。
「んんっ。」
「んー、んふふんー。」
顔を引き剥がそうとしても、草香さんの両手は離れる事すら許してくれなかった。
草香さんは目を細め、こちらの表情を見て楽しんでいる様に見える。
俺も最初は拒否していたが、次第に頭がぼんやりとしてくる。
しかし、こういったものは草香さんの方が1枚上手で、反撃しようが逃げようが草香さんに弄ばれてしまう。
「んっ･･･、っはあっ･･･はあっ･･･。」
ようやく解放された。
実際は数秒の出来事だったのだろうが、とても長く感じた。
「んふっ。で、ヤっちゃう？」
このタイミングでその質問はなかなか酷だ、断る事が出来ないと知ってだろうか。
キスだけでここまで気持ち良くなってしまうのだから、この先どうなってしまうのだろうか。
俺は首を縦に振った。
「んふふー、んじゃベッドで横になろっか。」
俺は言われたまま、行動する。今、主導権は草香さんが握っているから、仕方がないと言い訳しよう。
「あ、そう言えばチョコ、まだ渡してなかったね。」
草香さんはどこにあったか分からないが、小瓶を取り出して中身を口に含んだ。
そして口移しで飲ませてきた。
今の俺には抵抗する気も起きず、ただただその液体を飲む。
甘い。本当にチョコかと疑ってしまう程甘く、しつこくならない。
その液体が喉を過ぎて数秒、体が熱くなる。
全身が火照る程に熱くなって、頭が更にぼんやりとする。
素早い手付きで俺の服が次々と脱がされていくが、抵抗する気も起きない。
「可哀想な河井くん、今から狼に食べられちゃうんだよ？」
草香さんが耳元でそう囁くだけで、体が心地よくなっていく。
草香さんが俺に跨って、トロトロの秘部が見える。そう言えばパーカーの下は何も着てなかったっけ、と考えていた次の瞬間。
ブチッ。
「ふぇ？」
草香さんは俺の股間辺りに腰を落としている。
「えっ、あ、あああっ！！」
次に襲ってきたのは強い快楽だった。
「童貞卒業おめでとうね、まぁ私も、処女喪失だけどねっ！」
強く腰を落とす度に、快楽が加えられる。
「あっ、ああっ、あっ、くっああっ！」
「ははっ、河井くん、女の子みたいに、喘いじゃって、可愛いね。」
声を抑えようとしても、不可能だった。
ついさっきまで童貞だったオレにとって、こんなに強い快楽を我慢しろと言われても無理である。
「もしさ、ここでイっちゃったらさ、子供、出来ちゃうかもね。」
「えっ。」
保健体育の授業で、子供の出来方について教えてもらった。
精液が子宮の中に入ると子供が出来る事も知っている。
男の股間からは精液が出る事も知っている。
「えっ、そ、それって。」
「そうだよ、私と、河井くんの子供、出来ちゃうんだよ。」
さっきまでの興奮が焦りに変わっていく。
学生なのに子供が出来るって、かなり不味いんじゃ。
「あっ、抜いてっ、お願いっ。」
「えぇ、抜いちゃうの？」
腰が止まる。
お願いだから、そのまま抜いてくれ。
子供が出来たら大問題じゃ済まなくなる。
「あー、でも1つ良い？」
「え、なんだ？」
草香さんは交渉でも持ちかけてくれるのだろうと、少なからず俺は安心してしまった。
少し無茶な条件でものんで、止めさせるべきだと。
しかし、そんな甘い考えは通用しなかった。
「私、もうさ、河井くんの子供産む気満々だからさ、奥に出してね。」
「えっ。」
その刹那、本当にその刹那だった。
草香さんの腰はかなりの速さで叩き付けられ、許容範囲を遥かに超える快楽が襲う。
「あがあぁぁっっ！！」
「ははっ、ごめんね、河井くん、もう我慢、出来ない。」
俺の我慢も限界だった。
「あっ、あっ、射精る、射精るっ！」
「奥に、奥に出してねっ！」
「あっ、ああああああっっ！」
ドクドクッ･･･ドクッ･･･ドクッ･･･。
・・・
「あれ、河井くん？」
彼を見ると、ぐったりとしている。
いや、気を失っていた。恐らく子供が出来ると聞いてショックで気を失ったのだろう。
「まぁ、出来る確率なんてあんまり高くないんだけどね。」
もう一度彼を見る。
これほどまでに可愛い彼氏をゲット出来るなんて、夢にも思わなかったが。
「はあぁ･･･。」
もうこれは彼氏になったと言っても過言ではない、いや、絶対になろう。
「ねぇ。」
聞こえてはいないのだろうけど、ひとまず聞いてみた。
「君ってさ、本当に幸せ者なんだよ？」
彼からの応答はない。
「今日他の人からチョコが渡されなかったのは、私のお陰だよ？他の人のチョコは何が入っているか分からないしね。私のチョコはほんのちょっとだけ媚薬入りで、他は愛情だからね。でもみーんなあの手この手で渡そうとするし･･･。校門のあの子は本当にヤバかった。私が殺意込めてあの子睨んで無かったら、今頃あの子の彼氏になってたかもしれないよ？君って自分じゃ気付いてないかもだけど、結構色んな子から好かれてるからね。クラスの半分はあなたは悪くないって言うし、学年だったら君の事好きって人6、7人いるからね？でも大丈夫、安心して。私はあなただけを見て、あなただけに触れて、あなただけを好きでいるからね。最初の重いって酷かったなぁ、起きたらまずはお仕置きかな。でも、それまではゆっくりと寝てていいからね。私の未来の旦那様。」
パーティーピーポーな奴らはそう騒ぎ立て女子からチョコをねだる、そのような記念日らしいが俺にとってはただの平日にすぎないし、チョコを貰いたいとも思わない。
だからといって、バレンタイン撲滅運動に参加しようとは思わない。
ただただ普通の日々として過ごそうと思う、てか今してる。
もっと言えばもう１日も半分終わった。
教室内ではチョコを貰ったのだろうか、鼻の下を伸ばしている野郎がなんと多いことか。
「うっす。」
ふて寝していた俺の頭上から腹立たしい声が聞こえる。
「よう、岩田。無駄に元気だな。」
「そう言う河井はチョコ貰え無くてすねてんのか？」
「ここが日本じゃなかったら、今頃お前の脳天に鉛がぶち込まれてんぞ。」
「いやいや、なんでだよ。」
･･･見るからに岩田は女子にチョコでも恵んでもらえたのだろう。
いや、別に羨ましいとか思ってはいない。
ただただ本命でも何でもないチョコに騒いでるのが、馬鹿馬鹿しいと思っているだけだ。
•••
昼の授業も終わり、帰りのホームルームも終わったのでそのまま家に直帰する。
なんだかんだあったが今の今までチョコを貰えなくて悔しいとか、逆に岩田の方が沢山貰ってて妬ましいとか、全然思ってない。
校門を遠り過ぎようとしたその時、
「あ、河井くーん。」
同じのクラスの･･･あれ、名前が出てこない。
種類は天使っぽいあれで、えーと･･･。
「え、ああどうも。何か用か？」
「まぁ、ちょっとね。」
歯切れも悪く、顔も赤面させ、なぜかモジモジしている。
「なんだよ。」
「いやー、河井くんってさ、チョコ貰ってないらしいじゃん？」
「ぐっ。」
傷をえぐってきやがった。
チョコの1つも貰えない俺は、リア充派の彼女には滑稽に見えているのだろうな。
「そうだけど、だからなんだよ。」
「ええとね、それでさ、もし良かったらでいいんだけどさ。」
そう言って彼女がスクールバッグの中をまさぐっていると。
「あー、いややっぱり何でもないや。」
「えっ、ちょっ。」
「じゃあねー、また明日ー。」
スタスタ去って行ったんだが。
え？あの流れってチョコ渡されるんじゃないの？
…無いの？最後の最後でオーバーキルされたんだけど。
死体蹴りされたんだけど。
なんなの、俺悪い事した？えぇ？
しばらくの間、俺は立ち尽くす事しか出来なかった。
・・・
「はぁー」
枕にため息が沈み込んでいく。
ため息1つで幸せが1つ逃げると言うが、気にしてられない。
あれから私はすぐに帰ったが、未だに驚きを隠せない。
「まさか売約済みとはねー。他の女の子の匂いが全くしなかったけど、あそこまで殺意飛ばされたら、チョコも渡すに渡せないってーの。」
寝返りをうっても、ぬいぐるみを抱いてもは紛れる事はなかった。
「ま、どうせみんながみんな彼氏持ちじゃないから構って貰おうじゃないか。」
そう言って彼女はスマホに手を伸ばした。
・・・
あの後俺は瀕死状態の中、やっとの思いで家に着いた。
両親は共働きで、家の中には俺の傷を癒やす物はなかった。
「ぐえぇぇっ。」
ただいまを言う気力も無く、玄関に倒れ込む。
・・・
ピンポーン。
インターホンの音で目覚める。
やべっ、ガチ寝してた。今何時だろうか。
ピンポーン。
「あー、はーい。」
ひとまずは、今すぐに家に来ている人に応答しないと。
ドアノブを回して開ける。
「どうもニコニコ宅配便です、荷物をお届けに参りました。」
「あっ、どうも。」
この期に及んで、もうチョコなど期待していない。
うん、もう部屋に戻って二度寝しよう。
にしても、少し大きめの荷物が届いたなぁ。
「さほど重たくないので、気を付けないでください。」
「えっ、はい。ありがとうございます。」
そうして、手渡しで荷物を受け取ろうとすると。
「いや、重たいって、これ！」
「別に重たくないですよ？」
「いやいや、ちょっとは重たくなかったんですか？」
「その荷物は重たくないですよ？」
「あぁ･･･はい。」
なぜか重たい物を重たくないと、言い張る宅配便はさておき。
「この荷物何？」
その疑問は隠せなかった。
ふらつきながらも、やっとの思いでリビングに着き、開封してみた。
すると。
「ハッピーバレンタイン！！」
中からは同じクラスのワーウルフ？の･･･草香さんだっけ、が飛び出てきた。
裸姿にリボンを巻き付けて。
「･･･。」
突然の事が起きて、頭の回転が追い付かなかったので、ひとまず蓋を閉めた。
「どうですか？河井さんって、ちょっと閉めないで押さえ付けないでー。」
これでよしと、さぁ一旦考えよう。
重たい荷物の中に草香さんが入っていた、裸にリボンを巻き付けて。
よし、いい具合に頭が痛くなってきた。
･･･え、裸にリボン？
「河井さーん、開けて下さーい！」
「え、あの草香さん？」
「はい、なんでしょうか。」
「色々と質問したいのですが、えーと、まず服は着てますか？」
「着てないよ。」
激しい頭痛が襲う。
え、何この人、馬鹿なの？
「それは何故に？」
「いやー、バレンタインは男の人に裸リボンが1番かと思ってさ。」
これはひどい。
「あのー、パーカーか何か持ってくるので、着替えて貰いませんか？」
「えー。」
愚痴をこぼしているが、気にしていられない。
早速探しに行かないと。
・・・
「確か、ここら辺に、俺のパーカーが、あったような。」
俺の部屋のタンスを探る。
「おお、あったあった。」
今すぐ渡しに行こうかと、後ろを振り返ると。
「･･･えーと。何をしてるんですか、草香さん。」
「え、ああ。別にー。」
裸リボンのまま、俺の部屋の入口まで入って来ていた。
さっきはしっかりと見れて無かったので、まじまじと見させてもらうが。
「もー、何よ。」
本当に宗と秘部しか隠れておらず、かなりエロい。
「寒そうだから、パーカー着て貰えます？」
「えー、悩殺してたのにー。」
効果はバツグンでしたから、早く着てください。
草香さんは渋々パーカーに袖を通した。
「あの、ドア付近で何してるんですか、入ってきて下さいよ。」
「はーい。」
がちゃり、ドアが閉まる。
「おっきいね、これ。」
「まぁ、俺の服の中で一番デカい奴ですからね。」
そう言ってた草香さんは下を見ていたが、気にしないでおこう。
「それで、何しに来たのですか？」
「チョコ渡しに来たんだよ。」
「えー、それでは何故に裸にリボンなんですか？」
「それは私がバレンタインのプレゼントだからだよ。」
お、おお。困惑を隠せない俺がいる。
「そう言う事は面白半分でやるべきではないかと思いますが。」
「なんでー？」
首を傾げて聞いてくる。
だから、そう言う動作はダメだって。
「好きな人以外にやると勘違いされますよ。」
「大丈夫だよ、河井くんの事好きだからさ。」
え？今なんて？
「え？今なんて？」
動揺し過ぎて本音が出てしまった。
「だから、河井くんの事好きだって。なんなら今すぐ娶(めと)っても良いよ？」
一瞬、言葉が理解出来なかった。
え、草香さんが俺の事好きって？え？
「いや、でも、なんで俺なんかを好きに？」
「んー、一目惚れ。入学式の時からずっと好きだったよ？」
かなり前から俺の事を好きになっていた。
その事実を知っただけで、鼓動が更に高まっていく。
「今日も私達しか居ないからさ、ちょっとヤっちゃう？」
草香さんの右手をよく見れば人差し指と中指の間に親指が挟まっている。
「流石にそれは、って、親がいないってなんでそれを。」
「好きな人の事を知りたいってのは当然でしょ？」
「いや、でもその理由だけでヤるのはちょっと･･･。」
少しだけ距離を置く為に後ずさる。
しかし、後ずさった分草香さんは詰めてくる。また後ずさる、しかし詰めてくる。
ちょっとだけ待って下さい！
そう言おうとした、しかし草香さんは飛び込んできた。
「うわっ！」
驚いて尻もちをつき、草香さんはその上に乗っかってきた。
「何をするんd･･･んんっ！」
草香さんと俺はキスをしていた。唇と唇が触れ合うだけのキスではなく、舌を絡め合うキス。
「んんっ。」
「んー、んふふんー。」
顔を引き剥がそうとしても、草香さんの両手は離れる事すら許してくれなかった。
草香さんは目を細め、こちらの表情を見て楽しんでいる様に見える。
俺も最初は拒否していたが、次第に頭がぼんやりとしてくる。
しかし、こういったものは草香さんの方が1枚上手で、反撃しようが逃げようが草香さんに弄ばれてしまう。
「んっ･･･、っはあっ･･･はあっ･･･。」
ようやく解放された。
実際は数秒の出来事だったのだろうが、とても長く感じた。
「んふっ。で、ヤっちゃう？」
このタイミングでその質問はなかなか酷だ、断る事が出来ないと知ってだろうか。
キスだけでここまで気持ち良くなってしまうのだから、この先どうなってしまうのだろうか。
俺は首を縦に振った。
「んふふー、んじゃベッドで横になろっか。」
俺は言われたまま、行動する。今、主導権は草香さんが握っているから、仕方がないと言い訳しよう。
「あ、そう言えばチョコ、まだ渡してなかったね。」
草香さんはどこにあったか分からないが、小瓶を取り出して中身を口に含んだ。
そして口移しで飲ませてきた。
今の俺には抵抗する気も起きず、ただただその液体を飲む。
甘い。本当にチョコかと疑ってしまう程甘く、しつこくならない。
その液体が喉を過ぎて数秒、体が熱くなる。
全身が火照る程に熱くなって、頭が更にぼんやりとする。
素早い手付きで俺の服が次々と脱がされていくが、抵抗する気も起きない。
「可哀想な河井くん、今から狼に食べられちゃうんだよ？」
草香さんが耳元でそう囁くだけで、体が心地よくなっていく。
草香さんが俺に跨って、トロトロの秘部が見える。そう言えばパーカーの下は何も着てなかったっけ、と考えていた次の瞬間。
ブチッ。
「ふぇ？」
草香さんは俺の股間辺りに腰を落としている。
「えっ、あ、あああっ！！」
次に襲ってきたのは強い快楽だった。
「童貞卒業おめでとうね、まぁ私も、処女喪失だけどねっ！」
強く腰を落とす度に、快楽が加えられる。
「あっ、ああっ、あっ、くっああっ！」
「ははっ、河井くん、女の子みたいに、喘いじゃって、可愛いね。」
声を抑えようとしても、不可能だった。
ついさっきまで童貞だったオレにとって、こんなに強い快楽を我慢しろと言われても無理である。
「もしさ、ここでイっちゃったらさ、子供、出来ちゃうかもね。」
「えっ。」
保健体育の授業で、子供の出来方について教えてもらった。
精液が子宮の中に入ると子供が出来る事も知っている。
男の股間からは精液が出る事も知っている。
「えっ、そ、それって。」
「そうだよ、私と、河井くんの子供、出来ちゃうんだよ。」
さっきまでの興奮が焦りに変わっていく。
学生なのに子供が出来るって、かなり不味いんじゃ。
「あっ、抜いてっ、お願いっ。」
「えぇ、抜いちゃうの？」
腰が止まる。
お願いだから、そのまま抜いてくれ。
子供が出来たら大問題じゃ済まなくなる。
「あー、でも1つ良い？」
「え、なんだ？」
草香さんは交渉でも持ちかけてくれるのだろうと、少なからず俺は安心してしまった。
少し無茶な条件でものんで、止めさせるべきだと。
しかし、そんな甘い考えは通用しなかった。
「私、もうさ、河井くんの子供産む気満々だからさ、奥に出してね。」
「えっ。」
その刹那、本当にその刹那だった。
草香さんの腰はかなりの速さで叩き付けられ、許容範囲を遥かに超える快楽が襲う。
「あがあぁぁっっ！！」
「ははっ、ごめんね、河井くん、もう我慢、出来ない。」
俺の我慢も限界だった。
「あっ、あっ、射精る、射精るっ！」
「奥に、奥に出してねっ！」
「あっ、ああああああっっ！」
ドクドクッ･･･ドクッ･･･ドクッ･･･。
・・・
「あれ、河井くん？」
彼を見ると、ぐったりとしている。
いや、気を失っていた。恐らく子供が出来ると聞いてショックで気を失ったのだろう。
「まぁ、出来る確率なんてあんまり高くないんだけどね。」
もう一度彼を見る。
これほどまでに可愛い彼氏をゲット出来るなんて、夢にも思わなかったが。
「はあぁ･･･。」
もうこれは彼氏になったと言っても過言ではない、いや、絶対になろう。
「ねぇ。」
聞こえてはいないのだろうけど、ひとまず聞いてみた。
「君ってさ、本当に幸せ者なんだよ？」
彼からの応答はない。
「今日他の人からチョコが渡されなかったのは、私のお陰だよ？他の人のチョコは何が入っているか分からないしね。私のチョコはほんのちょっとだけ媚薬入りで、他は愛情だからね。でもみーんなあの手この手で渡そうとするし･･･。校門のあの子は本当にヤバかった。私が殺意込めてあの子睨んで無かったら、今頃あの子の彼氏になってたかもしれないよ？君って自分じゃ気付いてないかもだけど、結構色んな子から好かれてるからね。クラスの半分はあなたは悪くないって言うし、学年だったら君の事好きって人6、7人いるからね？でも大丈夫、安心して。私はあなただけを見て、あなただけに触れて、あなただけを好きでいるからね。最初の重いって酷かったなぁ、起きたらまずはお仕置きかな。でも、それまではゆっくりと寝てていいからね。私の未来の旦那様。」
19/02/15 00:38更新 / 白ご飯