犬も歩けばデートする
「直哉、今週の日曜デートをするぞ。」
「・・・唐突だな」
ハリベルと付き合いだしてから約一週間。お互いを七重で呼び合う以外、ビックリするぐらい何も進展がない。
・・・というか、むしろ避けられている気がする。
たまに視線が合ってもすぐ外されるし、廊下ですれ違う時も決して俺から半径1メートル内に近ずこうとしない。ほかのクラスメイトに『なにかあったの?』と聞かれても『別になにもないが?』と返すのみだ。
俺の方に何か問題があるのかとも思ったが、心当たりができるほど会話もしてないし・・・(泣)
今のようにいきなり話しかけて来て・・・、
「で、デートか・・・。日曜は基本的に暇だし、俺は大丈夫だぞ。」
「そうか、では10時に駅前集合だ。」(スタスタ・・・)
・・・いきなり去っていくだけだ。
なんつーか少し寂しいな、これ。
それよりデートか。初デートってことになるんだよな?
・・・ここまでウキウキワクワクしない初デートってありえるのか?
それにあのキャラ。このまえの暴走変態的な言動が嘘に思えるぞ。
「おーい、直哉。飯食おうぜ・・・って、どうした?やけに浮かないかおしてんぞ?」
「・・・ああ、なんでもないんだ。ちょっと日曜にデートするってことになっただけだ。・・・はぁ。」
「右ストレートォォォ!!!」(ボゴッ)
「げふっ!!な、なにしやがんだこの野郎!!」
「うっせー!デートするってんのにため息か!?勝者の余韻ってかこのリア充がーーー!!!(しくしく)」
「そんな生やさしいモンじゃねーんだよ!こっちは真剣なんだよ!!」
「黙れ!中学から封印してきた俺の黄金の左をくらいてーのかゴラァ!!こちとら日曜の予定といえばゲーム三昧だぞ!!誰か彼女をくださぁぁぁい!!」
「だからそんなんじゃねーんだって!」
≪事情説明中・・・≫
「・・・なるほどそういうことか。」
「で、どう思うよ。」
俺はなんとか荒れ狂う昇平をなだめることに成功し事情を説明した。途中いいパンチ数発もらっちまったけど。
「どうにもこうにも嫌われてるとしか思えんだろう。」
「きっぱり言うなぁ・・・。」
「だいたい、あの委員長がお前と付き合ってるって時点で怪しいと思う。」
確かに・・・、言われてみればそうだ。モテない俺がこんな展開に陥ること自体ヘンじゃないか?
「お前が委員長に告白されたってこと、実はお前の勘違いっていうオチじゃないか?」
いや、そんなことはない。ない、・・・と思う。
・・・・・・・・・・・・。
「・・・夢・・・だったのかな。」
「それは違うのニャ!!」(ヒョコ)
「うおっ!?・・・て、なんだ、ランか。驚かせるなよ。」
突然現れたこいつは同じクラスの女子で、ネコマタのランだ。たしか、ハリベルと仲が良かったような・・・。
「弁当に入ってる小魚やるから猫はあっち行ってくれないか?俺、今真剣なんだよ。はい、小魚。」(スッ)
「だからそれが違うって言ってるんだニャ!(パクッ)ん、うまいニャ。」
あ、こいつ本当に食べやがった。
「まず初めに、ハリベルちゃんはそんなこと微塵も思ってないニャ。むしろお前にベタ惚れにゃんだニャ。隙あらば押し倒しt・・・、いにゃ、押し倒されたいと・・・っと、これは口止めされてたにゃ(ボソッ)。と、とにかく大大大好きなのニャ!」(ヒョイ)(パクッ)
この言い方、どうやらこいつはハリベルの本性を知っているようだ。今のかなり危なかったけど・・・。
つーか俺の弁当箱から残ってる小魚まで食うな。
「そうは言ってもな、あくまで『〜と思う』ってだけだろ。もういいじゃん。『委員長、こいつのこと嫌い』→『別れる』→『俺、メシウマwww』→『みんな幸せ』。これで万事解決だろ?」
「おい、俺の幸せどこに行った?」
「さあ、そこら辺の河原にでも落ちてんじゃね?」
ひでぇ・・・。
「フッフッフ、証拠ならあるニャ。これを見るニャ!」(バンッ)
「・・・なにこれ?ノートか?随分使い込まれてるようだけど。」
「何を隠そう、このノートはハリベルちゃんの㊙ノートニャのだ!!」
「「な、なんだってーーー!!」」
ランはノートをペラペラとめくりあるページを開いた。うーん、どれどれ。
『お化け屋敷→吊り橋効果で手握れる!よっしゃ☆』
『コーヒーカップ→将来のことを語り合う。子供は何人欲しいとか///』
『ランチの時→「はい、あーん。」を・・・してもらう。別に「おら、こいつ が欲しいんだろ?」「ああん、ほ、欲しいれふぅ。そ、その ○○が〜。」とかでも・・・いや、むしろそれで!』
『観覧車→き、キス///or観覧車が一周するまで超短時間のスリルセック ス!!』
・・・えっと、これ人に見せて大丈夫なのか?なんかいろいろアウトなこと暴露されてるんだけど。
「これはハリベルちゃんのいろいろな予定をメモするノートでにゃ、ハリベルちゃんの考えたこととが赤裸々に書きつづられているのニャ」
「いや赤裸々すぎると思う・・・て言うか委員長、こんなこと考えてるんだな。これまでのイメージが大崩壊したんだが・・・。」
そういや、昇平はこのこと知らないんだったっか。うん、その気持ちはよくわかるぞ。
しかし、この予定を見る限りデート先は遊園地らしい。あいつのことだから「ラブホに行くぞ(ハァハァ)」とか言い出しそうで少し警戒もしてたんだが、案外王道だな。
「ハリベルちゃんすごく楽しみにしたるみたいだったニャよ?だからお前もその気持ちに答えてやるのニャー!」
・・・・・・。
前言撤回、ここまでウキウキワクワクする初デートがありえるのか?
ヤベェ、すげー楽しみになってきた。
「・・・ああ、やるだけやってみるぜ。ありがとな、ラン。」
「お礼ならいらにゃいから、デートの結果とか教えるニャ。妊娠報告、楽しみにしてるのニャ!」
「その冗談はマジでシャレにならないからやめろ。」
「・・・ケッ、爆発しろ。このリア充が。」
早く、日曜日が来ねーかな。
日曜日、午前九時ジャスト。現在駅前。
自分の思いつく限りのオシャレをしてきたつもりで来たんだが、肝心のハリベルの姿が見当たらない。
時間厳守のあいつが遅刻するなんて・・・。俺、時間を間違えたわけじゃないよな?
(・・・タッタッタッタッ!)
「ん?」
「はぁはぁ、お、おそ、く、なった・・・。す、すまん!」(ハァハァ)
「いや、別に今来たところだからいいけどさ。」
ほんとは1時間前から来てたけどな。
「でもどうしたんだ?ハリベルらしくないな。寝坊でもしたのか?」
「そうじゃないんだ。昨夜はなかなか寝れなくてずっと起きていたんだが、何を着ていくかで悩んでな。」
「え!徹夜明けかよ!?大丈夫か?」
「ああ、問題ない。結局この前新しく買った服を着てきたんだが・・・、ど、どう思う?」
「え、あ、ああ。・・・すごく、かわいいと思う。」
「本当か!?お世辞とかじゃないか!?」
「ホントだって。うん、スゲー似合ってるぞ///」
「押し倒したいと思うか!?」
「それは思はない。」(キッパリ)
「・・・(´・ω・`)/」(ショボーン)
まったく、油断も隙もあったもんじゃないな。
「なあ、そろそろ行かないか?遊園地行くんなら電車乗るんだろ?時間とか大丈夫なのか?」
「はっ!そうだったな!よし、いくぞ。」(タッタッタッ)
「ああ。・・・て、ちょっと待て。」
「どうした?早くいくぞ、おいて行かれたいのか?」
「言い難いんだが・・・、首んところ。」
「首?何か変なものでもついt・・・。」(←値札発見)
・・・・・・・・・・・・・。
「こ、こ、こ、これは違うんだ!!別に、取り忘れたわけでは決してなくだな・・・!!」
「・・・・・・プッ。」
「な!笑うな!!私と言えど失敗だってするんだからな!!」
「ご、ごめん。でも、ププッ、これは我慢できないって・・・ププッ」
「わ〜ら〜う〜な〜!!!」(泣)
やばい、普段とのギャップのせいかすごく笑える。
「まぁ、笑うのもここまでにして早く行こうぜ。本当に乗り過ごしちまうぞ。・・・・・ププッ。」
「まだ笑ってる!!貴様、いい加減にしないとm・・・て、ちょっと待て。」
「ん、どうした?」
「なんで貴様が今日のデートの行先を知っているんだ?」(じーっ)
!?しまった!!
「あ、あれだ!こういうのってだいたい遊園地か水族館だろ!?」
「う、うむ、そう考えればそうか。・・・少しベタすぎたか(ぼそっ)」
「?」
怒ったり悩んだり忙しい奴だな。て言うか、そろそろ時間がやばいんだが?
≪遊園地にて≫
「ずいぶんと賑わっているな。」
「まあ休日なんだしこんなもんだろ。で、どこいく?」
「うむ。まずはお化け屋敷に行ってみたいのだが、いいか?」
お化け屋敷・・・。確か、『手を握る』だっけか?『将来のことについて話し合う』よりはよっぽどいいな。それでいいか。
「よし、じゃあ行くか。」(ぎゅっ)←俺がハリベルの手を握る音
「!!!???」
あ、しまった!そればっか意識してたから、つい手握っちまった!
「す、すまん!急に・・・。」(ばっ)
「あ、あ、あ、お、、、おま、、、、。・・・くぅん///」(しゅー)
あ、顔から湯気が。
「・・・もう、予定が狂ったじゃないか。まだ心の準備というものがだな・・・(ぼそぼそっ)」
なんかぼそぼそ言ってるが大丈夫か?こいつ。早くお化け屋敷行こうぜ。
≪ランチにて≫
「ふー。午前中だけで結構回ったな。」
「そうか?まだまだだと思うぞ。ほら、地図を見てみろ。」
「うわ、ほんとだ。」
今はお昼時。俺たちはパスタの店で昼食をすますことにした。
「すいませーん。たらこクリームパスタください。」
「私はペペロンチーノでお願いします。」
『はい、かしこまりました。少々お待ちください。』(タッタッタッ)
「ふと思ったのだが、ペペロンチーノってなんだかHな単語に聞こえないか?」
「言うと思ったよ・・・。」
〜待つこと数分後〜
「おお、うまそうだな。じゃ、いただきま〜す。」
「な、なあ直哉。」
「ん、どうした?」
「あの・・・・・・・・・・いや、なんでもない・・・。」
?
ああ〜、そういうことか。
「はい、あ〜ん。」
「!!」
「どうした?いらねーのか?」
「あ、い、いや。い、いただこう。」(ぱくっ)
(もぐもぐ)
「うまいか?」
「ああ、おいしい・・・///」(ニコッ)
「・・・・・・・///」
い、いかん!俺からやったのにこっちが恥ずかしくなってきた!
≪ジェットコースターにて≫
(ガタン、ゴトン・・・。)
「・・・・・・。」(ブルブルガクガクッ)
「なあ、お前。もしかして絶叫マシーン嫌いか?」
「な、何を言う!このくらいでビビるはずがないだろう、この私が!」
(ガタン、ゴトン・・・。)
「まあいやって言ってももう遅いか、もうすぐ一番上だし。・・・来るぞ。」
「ままま待て!まだ心の準b・・・が〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
(ゴォォォォォ!!!)
「きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
〜数分後〜
「・・・・・しくしく。」
「だ、大丈夫か?」
「や〜だ〜・・・。おうち、かえる〜・・・・。」
・・・恐怖のあまり幼児退行していらっしゃる・・・。
≪観覧車にて≫
「今日は楽しかったな。」
「ああ、そうだな。見ろあのお化け屋敷があんなに小さく見えるぞ。」
「おお、ほんとだ。」
俺の初デートもいよいよ大詰め、この観覧車が1周してしまえばあとは帰るだけだ。
ただ、俺はこいつに1つ聞きたいことがあった。
「なあ、ハリベル。」
「?。どうした?」
「なんでお前、学校であんなに俺に冷たいんだ?」
「!」
・・・・・・・・・・・・・。
「・・・すまん、やっぱり嫌だったようだな。」
「・・・・・・ああ。」
・・・・・・・・・・・・・。
「私はな、どうも貴様のそばにいると、その・・・暴走してしまうんだ。」
・・・・・・・・・・・・・。
「いつもいつも、貴様のことを・・・、直哉のことを考えていると周りが見えなくなってしまう。ほら、この前の朝もそうだっただろう?あんなふうに、はしたないことだってできてしまうんだ。」
・・・・・・・・・・・・・。
「だから、直哉と一緒にいると皆の前であっても暴走してしまいそうで、怖くて・・・。だから・・・。」
・・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・俺と一緒にいるのは嫌か?」
「嫌なんかじゃない、好きだ、大好きだ!私は直哉のこと大大大好きだ!!ずっと一緒にいたい・・・。」
「じゃあ、・・・そうすればいいじゃねぇか。」
「でも・・・。」
「周りなんてカンケーない。お前は自分に素直になればいいじゃねぇか。」
「でも・・・。」
「もしそれでお前が皆に嫌われたって、その時は俺がその分愛好きになってやる!!その1000倍好きになってやる!!」
「・・・直哉・・・。」(ぼろぼろ)
「大好きだ、ハリベル。ずっと、ずっと一緒にいよう。」
「直哉・・・。好きだ。私も、直哉のことだ大好きだ!!」(だきっ)
「ハリベル・・・。」(ぎゅっ)
「直哉・・・。」(ぎゅっ)
――――チュッ――――。
「・・・・・・///」
「・・・・・・///」
「・・・キス、してしまったな。」
ああ、そうだな。
「・・・もう1回したいか?ハリベル。」
「・・・!!・・・・ああ、たのむ///」
俺たちは観覧車が一番下に達するまで、長い長いキスをした。
他のお客さんたちや係員さんにも見られちまったかな・・・。
・・・まあ、いいか。ハリベルと一緒にいられるのなら・・・。
≪ちょっとおまけ≫
〜二人の初デートの前の日〜
「あーくそ。直哉は明日デートですか・・・。イラつくな・・・。」
「まあまあ、ここは友の幸せを願うのが親友ってやつじゃにゃいのか?」
「それはそれ、これはこれ。」
「ニャッハハハ、違いないのニャ。じゃあ、明日はお互い恋人いない者同士仲良く傷のなめ合いでもするのニャ!」
「そりゃいいな。で、なにするんだ?ゲームとか?」
「う〜ん、そうにゃね・・・・・・・・・・デートでもしちゃおうかニャ?」
「・・・・・・・・・・・・・・マジで?」
「・・・唐突だな」
ハリベルと付き合いだしてから約一週間。お互いを七重で呼び合う以外、ビックリするぐらい何も進展がない。
・・・というか、むしろ避けられている気がする。
たまに視線が合ってもすぐ外されるし、廊下ですれ違う時も決して俺から半径1メートル内に近ずこうとしない。ほかのクラスメイトに『なにかあったの?』と聞かれても『別になにもないが?』と返すのみだ。
俺の方に何か問題があるのかとも思ったが、心当たりができるほど会話もしてないし・・・(泣)
今のようにいきなり話しかけて来て・・・、
「で、デートか・・・。日曜は基本的に暇だし、俺は大丈夫だぞ。」
「そうか、では10時に駅前集合だ。」(スタスタ・・・)
・・・いきなり去っていくだけだ。
なんつーか少し寂しいな、これ。
それよりデートか。初デートってことになるんだよな?
・・・ここまでウキウキワクワクしない初デートってありえるのか?
それにあのキャラ。このまえの暴走変態的な言動が嘘に思えるぞ。
「おーい、直哉。飯食おうぜ・・・って、どうした?やけに浮かないかおしてんぞ?」
「・・・ああ、なんでもないんだ。ちょっと日曜にデートするってことになっただけだ。・・・はぁ。」
「右ストレートォォォ!!!」(ボゴッ)
「げふっ!!な、なにしやがんだこの野郎!!」
「うっせー!デートするってんのにため息か!?勝者の余韻ってかこのリア充がーーー!!!(しくしく)」
「そんな生やさしいモンじゃねーんだよ!こっちは真剣なんだよ!!」
「黙れ!中学から封印してきた俺の黄金の左をくらいてーのかゴラァ!!こちとら日曜の予定といえばゲーム三昧だぞ!!誰か彼女をくださぁぁぁい!!」
「だからそんなんじゃねーんだって!」
≪事情説明中・・・≫
「・・・なるほどそういうことか。」
「で、どう思うよ。」
俺はなんとか荒れ狂う昇平をなだめることに成功し事情を説明した。途中いいパンチ数発もらっちまったけど。
「どうにもこうにも嫌われてるとしか思えんだろう。」
「きっぱり言うなぁ・・・。」
「だいたい、あの委員長がお前と付き合ってるって時点で怪しいと思う。」
確かに・・・、言われてみればそうだ。モテない俺がこんな展開に陥ること自体ヘンじゃないか?
「お前が委員長に告白されたってこと、実はお前の勘違いっていうオチじゃないか?」
いや、そんなことはない。ない、・・・と思う。
・・・・・・・・・・・・。
「・・・夢・・・だったのかな。」
「それは違うのニャ!!」(ヒョコ)
「うおっ!?・・・て、なんだ、ランか。驚かせるなよ。」
突然現れたこいつは同じクラスの女子で、ネコマタのランだ。たしか、ハリベルと仲が良かったような・・・。
「弁当に入ってる小魚やるから猫はあっち行ってくれないか?俺、今真剣なんだよ。はい、小魚。」(スッ)
「だからそれが違うって言ってるんだニャ!(パクッ)ん、うまいニャ。」
あ、こいつ本当に食べやがった。
「まず初めに、ハリベルちゃんはそんなこと微塵も思ってないニャ。むしろお前にベタ惚れにゃんだニャ。隙あらば押し倒しt・・・、いにゃ、押し倒されたいと・・・っと、これは口止めされてたにゃ(ボソッ)。と、とにかく大大大好きなのニャ!」(ヒョイ)(パクッ)
この言い方、どうやらこいつはハリベルの本性を知っているようだ。今のかなり危なかったけど・・・。
つーか俺の弁当箱から残ってる小魚まで食うな。
「そうは言ってもな、あくまで『〜と思う』ってだけだろ。もういいじゃん。『委員長、こいつのこと嫌い』→『別れる』→『俺、メシウマwww』→『みんな幸せ』。これで万事解決だろ?」
「おい、俺の幸せどこに行った?」
「さあ、そこら辺の河原にでも落ちてんじゃね?」
ひでぇ・・・。
「フッフッフ、証拠ならあるニャ。これを見るニャ!」(バンッ)
「・・・なにこれ?ノートか?随分使い込まれてるようだけど。」
「何を隠そう、このノートはハリベルちゃんの㊙ノートニャのだ!!」
「「な、なんだってーーー!!」」
ランはノートをペラペラとめくりあるページを開いた。うーん、どれどれ。
『お化け屋敷→吊り橋効果で手握れる!よっしゃ☆』
『コーヒーカップ→将来のことを語り合う。子供は何人欲しいとか///』
『ランチの時→「はい、あーん。」を・・・してもらう。別に「おら、こいつ が欲しいんだろ?」「ああん、ほ、欲しいれふぅ。そ、その ○○が〜。」とかでも・・・いや、むしろそれで!』
『観覧車→き、キス///or観覧車が一周するまで超短時間のスリルセック ス!!』
・・・えっと、これ人に見せて大丈夫なのか?なんかいろいろアウトなこと暴露されてるんだけど。
「これはハリベルちゃんのいろいろな予定をメモするノートでにゃ、ハリベルちゃんの考えたこととが赤裸々に書きつづられているのニャ」
「いや赤裸々すぎると思う・・・て言うか委員長、こんなこと考えてるんだな。これまでのイメージが大崩壊したんだが・・・。」
そういや、昇平はこのこと知らないんだったっか。うん、その気持ちはよくわかるぞ。
しかし、この予定を見る限りデート先は遊園地らしい。あいつのことだから「ラブホに行くぞ(ハァハァ)」とか言い出しそうで少し警戒もしてたんだが、案外王道だな。
「ハリベルちゃんすごく楽しみにしたるみたいだったニャよ?だからお前もその気持ちに答えてやるのニャー!」
・・・・・・。
前言撤回、ここまでウキウキワクワクする初デートがありえるのか?
ヤベェ、すげー楽しみになってきた。
「・・・ああ、やるだけやってみるぜ。ありがとな、ラン。」
「お礼ならいらにゃいから、デートの結果とか教えるニャ。妊娠報告、楽しみにしてるのニャ!」
「その冗談はマジでシャレにならないからやめろ。」
「・・・ケッ、爆発しろ。このリア充が。」
早く、日曜日が来ねーかな。
日曜日、午前九時ジャスト。現在駅前。
自分の思いつく限りのオシャレをしてきたつもりで来たんだが、肝心のハリベルの姿が見当たらない。
時間厳守のあいつが遅刻するなんて・・・。俺、時間を間違えたわけじゃないよな?
(・・・タッタッタッタッ!)
「ん?」
「はぁはぁ、お、おそ、く、なった・・・。す、すまん!」(ハァハァ)
「いや、別に今来たところだからいいけどさ。」
ほんとは1時間前から来てたけどな。
「でもどうしたんだ?ハリベルらしくないな。寝坊でもしたのか?」
「そうじゃないんだ。昨夜はなかなか寝れなくてずっと起きていたんだが、何を着ていくかで悩んでな。」
「え!徹夜明けかよ!?大丈夫か?」
「ああ、問題ない。結局この前新しく買った服を着てきたんだが・・・、ど、どう思う?」
「え、あ、ああ。・・・すごく、かわいいと思う。」
「本当か!?お世辞とかじゃないか!?」
「ホントだって。うん、スゲー似合ってるぞ///」
「押し倒したいと思うか!?」
「それは思はない。」(キッパリ)
「・・・(´・ω・`)/」(ショボーン)
まったく、油断も隙もあったもんじゃないな。
「なあ、そろそろ行かないか?遊園地行くんなら電車乗るんだろ?時間とか大丈夫なのか?」
「はっ!そうだったな!よし、いくぞ。」(タッタッタッ)
「ああ。・・・て、ちょっと待て。」
「どうした?早くいくぞ、おいて行かれたいのか?」
「言い難いんだが・・・、首んところ。」
「首?何か変なものでもついt・・・。」(←値札発見)
・・・・・・・・・・・・・。
「こ、こ、こ、これは違うんだ!!別に、取り忘れたわけでは決してなくだな・・・!!」
「・・・・・・プッ。」
「な!笑うな!!私と言えど失敗だってするんだからな!!」
「ご、ごめん。でも、ププッ、これは我慢できないって・・・ププッ」
「わ〜ら〜う〜な〜!!!」(泣)
やばい、普段とのギャップのせいかすごく笑える。
「まぁ、笑うのもここまでにして早く行こうぜ。本当に乗り過ごしちまうぞ。・・・・・ププッ。」
「まだ笑ってる!!貴様、いい加減にしないとm・・・て、ちょっと待て。」
「ん、どうした?」
「なんで貴様が今日のデートの行先を知っているんだ?」(じーっ)
!?しまった!!
「あ、あれだ!こういうのってだいたい遊園地か水族館だろ!?」
「う、うむ、そう考えればそうか。・・・少しベタすぎたか(ぼそっ)」
「?」
怒ったり悩んだり忙しい奴だな。て言うか、そろそろ時間がやばいんだが?
≪遊園地にて≫
「ずいぶんと賑わっているな。」
「まあ休日なんだしこんなもんだろ。で、どこいく?」
「うむ。まずはお化け屋敷に行ってみたいのだが、いいか?」
お化け屋敷・・・。確か、『手を握る』だっけか?『将来のことについて話し合う』よりはよっぽどいいな。それでいいか。
「よし、じゃあ行くか。」(ぎゅっ)←俺がハリベルの手を握る音
「!!!???」
あ、しまった!そればっか意識してたから、つい手握っちまった!
「す、すまん!急に・・・。」(ばっ)
「あ、あ、あ、お、、、おま、、、、。・・・くぅん///」(しゅー)
あ、顔から湯気が。
「・・・もう、予定が狂ったじゃないか。まだ心の準備というものがだな・・・(ぼそぼそっ)」
なんかぼそぼそ言ってるが大丈夫か?こいつ。早くお化け屋敷行こうぜ。
≪ランチにて≫
「ふー。午前中だけで結構回ったな。」
「そうか?まだまだだと思うぞ。ほら、地図を見てみろ。」
「うわ、ほんとだ。」
今はお昼時。俺たちはパスタの店で昼食をすますことにした。
「すいませーん。たらこクリームパスタください。」
「私はペペロンチーノでお願いします。」
『はい、かしこまりました。少々お待ちください。』(タッタッタッ)
「ふと思ったのだが、ペペロンチーノってなんだかHな単語に聞こえないか?」
「言うと思ったよ・・・。」
〜待つこと数分後〜
「おお、うまそうだな。じゃ、いただきま〜す。」
「な、なあ直哉。」
「ん、どうした?」
「あの・・・・・・・・・・いや、なんでもない・・・。」
?
ああ〜、そういうことか。
「はい、あ〜ん。」
「!!」
「どうした?いらねーのか?」
「あ、い、いや。い、いただこう。」(ぱくっ)
(もぐもぐ)
「うまいか?」
「ああ、おいしい・・・///」(ニコッ)
「・・・・・・・///」
い、いかん!俺からやったのにこっちが恥ずかしくなってきた!
≪ジェットコースターにて≫
(ガタン、ゴトン・・・。)
「・・・・・・。」(ブルブルガクガクッ)
「なあ、お前。もしかして絶叫マシーン嫌いか?」
「な、何を言う!このくらいでビビるはずがないだろう、この私が!」
(ガタン、ゴトン・・・。)
「まあいやって言ってももう遅いか、もうすぐ一番上だし。・・・来るぞ。」
「ままま待て!まだ心の準b・・・が〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
(ゴォォォォォ!!!)
「きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
〜数分後〜
「・・・・・しくしく。」
「だ、大丈夫か?」
「や〜だ〜・・・。おうち、かえる〜・・・・。」
・・・恐怖のあまり幼児退行していらっしゃる・・・。
≪観覧車にて≫
「今日は楽しかったな。」
「ああ、そうだな。見ろあのお化け屋敷があんなに小さく見えるぞ。」
「おお、ほんとだ。」
俺の初デートもいよいよ大詰め、この観覧車が1周してしまえばあとは帰るだけだ。
ただ、俺はこいつに1つ聞きたいことがあった。
「なあ、ハリベル。」
「?。どうした?」
「なんでお前、学校であんなに俺に冷たいんだ?」
「!」
・・・・・・・・・・・・・。
「・・・すまん、やっぱり嫌だったようだな。」
「・・・・・・ああ。」
・・・・・・・・・・・・・。
「私はな、どうも貴様のそばにいると、その・・・暴走してしまうんだ。」
・・・・・・・・・・・・・。
「いつもいつも、貴様のことを・・・、直哉のことを考えていると周りが見えなくなってしまう。ほら、この前の朝もそうだっただろう?あんなふうに、はしたないことだってできてしまうんだ。」
・・・・・・・・・・・・・。
「だから、直哉と一緒にいると皆の前であっても暴走してしまいそうで、怖くて・・・。だから・・・。」
・・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・俺と一緒にいるのは嫌か?」
「嫌なんかじゃない、好きだ、大好きだ!私は直哉のこと大大大好きだ!!ずっと一緒にいたい・・・。」
「じゃあ、・・・そうすればいいじゃねぇか。」
「でも・・・。」
「周りなんてカンケーない。お前は自分に素直になればいいじゃねぇか。」
「でも・・・。」
「もしそれでお前が皆に嫌われたって、その時は俺がその分愛好きになってやる!!その1000倍好きになってやる!!」
「・・・直哉・・・。」(ぼろぼろ)
「大好きだ、ハリベル。ずっと、ずっと一緒にいよう。」
「直哉・・・。好きだ。私も、直哉のことだ大好きだ!!」(だきっ)
「ハリベル・・・。」(ぎゅっ)
「直哉・・・。」(ぎゅっ)
――――チュッ――――。
「・・・・・・///」
「・・・・・・///」
「・・・キス、してしまったな。」
ああ、そうだな。
「・・・もう1回したいか?ハリベル。」
「・・・!!・・・・ああ、たのむ///」
俺たちは観覧車が一番下に達するまで、長い長いキスをした。
他のお客さんたちや係員さんにも見られちまったかな・・・。
・・・まあ、いいか。ハリベルと一緒にいられるのなら・・・。
≪ちょっとおまけ≫
〜二人の初デートの前の日〜
「あーくそ。直哉は明日デートですか・・・。イラつくな・・・。」
「まあまあ、ここは友の幸せを願うのが親友ってやつじゃにゃいのか?」
「それはそれ、これはこれ。」
「ニャッハハハ、違いないのニャ。じゃあ、明日はお互い恋人いない者同士仲良く傷のなめ合いでもするのニャ!」
「そりゃいいな。で、なにするんだ?ゲームとか?」
「う〜ん、そうにゃね・・・・・・・・・・デートでもしちゃおうかニャ?」
「・・・・・・・・・・・・・・マジで?」
13/01/14 04:46更新 / −9℃
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