読切小説
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魔物娘啖呵売り

寂れたアーケード街。そこに何やら怪しい人影。

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さァさァ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。楽しい楽しみ魔物娘を格安でどうだい。
売るったって本人たっての希望。オイラは奴隷売りじゃないからね。オイラはあくまで仲介人。今風だとアドバイザー。

 魔物娘って何だ。まずそっから入る兄ちゃんにはこの図鑑。魔物娘の種類、生態、好みに朝飯までなんでも載ってる。魔物娘はこれを見れば1発だ。もう詳しい兄ちゃんもこれを持ってれば間違いナシ。

 魔物娘は何と言っても精を食う。精を食うから魔物娘。魔物娘といったらサキュバスだ。夢魔にヨシ、嫁にヨシ、姉にヨシ。サキュバス1人でこの万能。そこのくたびれた兄ちゃんにはもってこいだヨ。

 嫁とはエッチしたいけど家事が怠い。そんな体たらくな兄ちゃんにはキキーモラ。何てったって奉仕種族だ。いつもニコニコして家事をしてるメイドさん。兄さんの言うこと何でも聞くヨ。例えば朝は和食がいい、夜は少し豪華に肉と行こうか。そんなことを言った日にゃ高級レストラン顔負けの飯が出てくる。飯がうまい魔物娘は無条件で嫁にしてイイ。
 
 嫉妬されるほど愛情を感じる厄介なオトコもいるもんだ、そんな兄ちゃんにはこの白蛇がオススメ。家庭的で今はもうすっかり見なくなった大和撫子の擬人化、体現、この上ない。旦那の好みと行動は全部把握してくれるからこっちはダラけてるだけでも良い。ただ、何でも構ってくれるからって他の女の子に手ェなんかだしたら後が怖い。

 ここまで喋った魔物娘、どれがいいか決められない。そんな意気地なしにはバイコーンが助けてくれる。なんせハーレム好きにはたまらない。この子自体が肝要なんだ。この子さえいればあの子もその子もみんな俺の嫁なんてのができちまう。だけど、やりすぎは御用心。御身があってのハーレムだ。

 現実世界にそろそろ飽きてきたなら魔物娘の世界で特にいいのが不思議の国だ。ここには色モノ色好き色々いるからネ。だがここにはマトモなやつはいない。この国の主人がズレてれば国民もズレてる。マットハッターはまだマシ。ロリロリなキノコがいつのまにかにイケメンに。言ってる事は小難しいけどその実ただ旦那様と交わりたいだけ。見た目はイケメンだからそこのうかない顔の兄ちゃんの心も乙女に落としてくれるハズ。

 さぁさ、買った買った。この本、パラーっと捲ってこの分厚さ全部魔物娘オンリー。お前が売ってるのは本じゃないか。そうじゃあない。この魔物娘が書かれてるページをペリッと切り取って、地面に置いて少ししたらあら不思議。魔物娘が出てきてそれはもうにいちゃん達のお嫁さん。
さァさァ買った買った。安い安いヨたったこれだけで魔物娘が網羅できる。嫁ができる。儲けもんだぞこっちは赤字覚悟だ、持ってけ泥棒。
兄ちゃん、一つどうだい?オマケしとくよ。
21/02/11 07:46更新 / まかみ

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