1.アヌビス (OL)
月日の流れと共に文明は発達し、かつてのジャングルがコンクリートのビルが立ち並ぶコンクリートジャングルへと変貌していった様に魔物娘もまた文明の発達と共に適合していった・・・
日本は世界的にもいち早く魔物娘を受け入れ、発展を遂げたいわば「魔物娘先進国」と呼ばれている。
そんな日本のオフィス街の一角に俺、小田島 悟史(おだじまさとし)が勤めている会社がある。
「小田島さん、例の資料の作成終わりました」
凛とした声の女性が俺に声をかけてきた。褐色の肌に紅い瞳、顔立ちは少し幼いが、大人びた雰囲気をしている。
「ありがとう。助かったよ」
「いえ、それでは」
そうして軽く会釈をして彼女はその場を去った。その去り際特徴である大きな「犬耳」と「尻尾」が少しだけ嬉しそうに振れていた・・・
そう、彼女は「人間」ではない。
彼女の名前は橘 結衣(たちばな ゆい) アヌビスという種族の魔物娘だ。
結衣ちゃんは今年の春入社したばかりの新入社員だ。ここ近年、魔物娘の社会進出は目覚しく、その能力を目に付けた各業種が優秀な魔物娘の獲得に奔走している。その中でも真面目で勤勉、管理を得意とするアヌビス種は将来の幹部候補生としてどの企業も採用に奔走しており、毎年人事部は他企業との争奪戦を繰り広げている。そんな争奪戦をうちの人事部が制し、結衣ちゃんが入社したわけだ。そういえば、去年結衣ちゃんの獲得祝いに俺も呼ばれたっけ・・・結衣ちゃんを獲得したことに対して会社から人事部に報奨金がでたらしい・・・。
入社して半年、彼女は期待を裏切らず非常に優秀であった。飲み込みを早く、嫌な顔せず気前良く仕事をこなしてくれる上、謙虚な姿勢から男女問わず先輩社員からも可愛がられている。そんな結衣ちゃんと俺は同じ部署であり、彼女の先輩でもある。当然さっきの様に資料作成をお願いしたり、面倒な仕事を一緒に手伝ってもらったりと何かとお世話になっている。お礼を言うと恥ずかしそうにはにかんだり、本人は無意識だろうが、耳や尻尾がふりふりしている。
・・・実にかわいらしい・・・
そんな姿見たさにわざと仕事を頼んだりする同僚もいる。本人にとっては迷惑な話だが、自分もその中の一人であるので、あまり強くも言えない・・・
時には雑談もするが、やはりアヌビスの性か、きっちりと仕事とプライベートの線を引いている。仕事もきっちりとこなし、ほぼ定時で帰宅している。そうなると中々お誘いもしづらい訳で・・・。たまに誘っても「いえ、今日は別の約束がありますので」と丁重にお断りされ続けている。
「俺って避けられてるかな・・・」そう感じて、最近凹んでいる・・・
そんな事を思っていた矢先、ある事件が起こった。
「橘君、ちょっといいかい?」
「はい」
ある日、結衣ちゃんが課長の加藤さんに呼び出された。
「この間の半期決算棚卸なんだが、どうもここだけ数字が合わなくてね・・・」
「えっそんな・・・先月まで納品した商品との誤差はありませんでした・・・」
「しかし、半年間のデータと納品書を見比べるとどうしても合わないんだよ」
結衣ちゃんは驚きの声を上げる。棚卸はうちの会社にある備品や商品を毎月すべて実際に数え、納品した内容と相違がないかをチェックする大事な仕事だ。こうした地道で確実性が求められる仕事は結衣ちゃんにはピッタリで、入社当初から任されていた。今まで問題なく業務をこなしていたが、それがどうも先月から今月までの間になんらかの理由で商品が一箱欠品してしまったらしい。しかも、決算の報告が迫っているためちょっと厄介な話のようだ。このことに対して動揺する結衣ちゃん。
そのやりとり聞いていた俺は課長に声を掛けた。
「課長、もう一度倉庫で数字を拾い直します。数え間違えや保管場所の間違い等の可能性も充分にありますし、決算報告まで少し時間をいただけないでしょうか?」
「ふむ、そうだね。では小田島君と橘君とで調査しなさい」
「わかりました」
「はい・・・」
こうして俺と結衣ちゃんは会社の倉庫へ向かうこととなった。
「よっと・・・ふう、結構あるな・・・・」
その日の昼から俺と結衣ちゃんは会社の倉庫へと赴いた。しかし、やはり課長のいった通り商品の数が合わなかった。そこで、俺達は会社とは別の倉庫へ行くことにした。俺達の会社はそれなりに大きな商社なので、大型の物流倉庫を借りているのだ。結衣ちゃんと調査では会社にあった在庫はこの物流倉庫から定期的に運び出されて補充されているらしい。先月から今月までの間でその補充は一回しか行われていない。とすればそのときに何らかのミスが生じたと思われるからだ。そこで商品の補充元である物流倉庫に出向いたという訳だ。
「私も初めてここに来たんですが、こんなにあるなんて・・・」
結衣ちゃんもかなり驚いているようだ。
「まあ、それなりの数の品物を扱っているからね」
豊富なラインナップがうちの会社の強みではあるが、今となっては仇となっているとしかいい様がない。学校の体育館程の広さもある倉庫一杯に大小様々な商品が棚ごとに箱詰めされて保管されている。その中から紛れ込んでいる例の商品を探し出さなければならないのだ。運悪くここの管理を担当している方が有休で休んでおり、詳しい場所がまったくわからない状態である。
「しょうがない、手分けして一つずつ確認していこう」
「わかりました」
こうして俺と結衣ちゃんは手分けして商品を探すことにした。
「はぁ・・・全然みつからないな・・・・」
「はい・・・・」
探し始めてはや数時間。商品は一向に見つからない・・・・。やはり会社あるのだろうか?ひょっとするとそもそも納品から違っていたのでは??こうして別の可能性も考えていたときだった。
「・・・・ごめんなさい・・・・」
突然結衣ちゃんが俺に謝ってきた。
「えっ?どっどうしたの??急に」
「私がミスしたばかりに小田島さんに迷惑を掛けてしましました・・・本当にゴメンナサイ・・・」
今にも泣き出しそうな結衣ちゃんを慌てて慰める。
「何いってるんだよ!全然そんなことないって!!大体俺なんかミスばっかで、課長から橘君を見習いなさい!なんて言われてるくらいなのに!!」
「でも、今回は私のミスです・・・もっともっと慎重に丁寧にやらなければならなかったのに・・・私・・・“管理者”失格です・・・ぐす・・・」
「結衣ちゃん・・・」
とうとう結衣ちゃんは泣き出してしまった。
"管理者"
学生時代に習ったが、アヌビスはあちらの世界の主人であった「ファラオ」から「管理者」としてピラミッドを守護する使命を与えられた存在だったという。今でこそ現代社会に溶け込んではいるが、その「管理者」としての誇りは失われることなく継承されている。それが現代社会でこうした仕事や様々な業種でアヌビスが活躍している要因なのだろう。
「大丈夫だよ。まだ諦めちゃいけないよ。それにこの世に完璧な人なんかいるもんか!もちろん管理者にもね!・・・だから、大丈夫だよ・・・」
泣きじゃくる結衣ちゃんを俺は抱きすくめる。一瞬びっくりしたようだが、すぐに僕に体を預けてくれた。
「管理者である前に結衣ちゃんは結衣ちゃんだろ??一人で抱え込まずに俺やみんなに助けを求めればいいんだよ。甘えていいんだよ。ね?」
まるで子供をあやすような言い方で俺は語りかける。
「・・・ひっく・・・おだ・・じま・・・・ひっく・・・さぁん・・・うわぁぁぁあぁあぁあんん!!!!!」
張り詰めたものがはじけたように結衣ちゃんは泣き出した。この娘はこの娘なりに気を張って、悩んで、一生懸命頑張ってきたんだな・・・
その時俺はこの娘を守ってあげたいと心の底から思った。
俺は結衣ちゃんが泣き止むまでずっと彼女を抱きしめていた・・・・・・・・
「うう・・・取り乱してすみませんでした・・・///」
「ははっ気にしないでよ。少しはすっきりした?」
「はい・・・何か重荷が取れた気がします・・・」
そう言って笑みを浮かべた。その笑顔は会社での造られた笑顔とは違い、結衣ちゃん本来の笑顔だった。
「さて、もうすぐ定時だし、今日はこれくらいにしよう」
時計を見ると既に午後5時をすぎており、この時期では薄暗くなりはじめてきていた。
「えっ・・・でも・・・」
「まだ、決算報告には時間があるし、担当の人がいるときにまた来ればいいさ」
「・・・はい・・・」
結衣ちゃんは諦めきれないという表情をしているが、俺の指示に従って出し入れしていた商品の箱等を片付けし始めた。
ガタン・・・グラッ・・・
・・・あっ!?
結衣ちゃんが片付けていた棚の上に置いてあった箱らしきものが、今にも落ちそうになっているのが眼に入った。このままでは結衣ちゃんに当たってしまう!!
「危ない!!」
「きゃっ!?」
咄嗟に俺は結衣ちゃんを庇うように体を乗り出す。
ガン!!
「痛ッ!?」
「小田島さん!?」
間一髪間に合い、結衣ちゃんではなく俺の背中に箱が当たった
「いてて・・・」
「大丈夫ですか!小田島さん!!」
「ああ、大丈夫だよ・・・それより結衣ちゃんに当たらなくてよかった」
「小田島さん・・・」
「しかし、一体何の箱なんだ・・・あ!!??」
「?小田島さん??」
「あ・・・あった!!あったよ結衣ちゃん!!」
「・・・あ!!」
その箱には「〜虜の果実石鹸〜」そう書かれていた。そう、俺達がずっと探していた足りなかった商品だった。
「・・・どうりで見つからないわけだ・・・あんなところに置いてあったんだから・・・」
倉庫の人には気をつける様にいっておかないとな・・・
「・・・・あの・・・・小田島さん・・・」
「ん・・・?」
「えっと・・・その・・・/////」
「・・・・あ!?」
咄嗟だった為、今俺は結衣ちゃんに覆いかぶさる状態になってしまっている・・・
「ごっごめん!!すぐに退くから!!」
グイッ
「えっ?」
離れようとした俺の両腕を結衣ちゃんが掴んでいた。
「あの・・・お礼・・・したいんです・・・」
「えっ?お礼??」
俺は言っている意味が良くわからず聞きなおそうとしたが・・・
「むぐぅ!?」
はむっ・・・・ちゅむ・・・・ちゅぱ・・・・ちゅぷ・・・・ちゅる・・・
突然結衣ちゃんに引き寄せられ、抱きしめられたたかと思うやいなや口を何かで塞がれた。あまりに急な出来事で、一瞬事態を飲み込めなかったが・・・結衣ちゃんが俺を引き寄せ、キスをしてきたのだと気づくのに少し時間を要した。
「ぷは!はぁ、はぁ・・・ゆっ結衣ちゃん・・・?」
「お礼、したいんです・・・いつも優しくて・・・いつもみんなに気を配って・・・そしてこんな私を受けてとめてくれた小田島さんに・・・」
結衣ちゃんは俺をそのまま仰向けに寝かせ、マウントポジションをとった様にまたがった状態で、まるで子犬が訴えかけるような瞳で僕を見つめていた・・・
「小田島さんに頼まれた仕事をこなした後に言ってもらえる"ありがとう"が凄く嬉しくて、ドキドキして・・・他の人じゃこんな風にならなくて・・・小田島さんの事が好きって気がついて・・・でも、ずっと恥ずかしくて・・・小田島さんにお誘いを受けても誤魔化して・・・」
なんということだ・・・結衣ちゃんが俺の誘いを断り続けたのは、俺を避けていたわけではなく、恥ずかしかったからだったのだ・・・しかも結衣ちゃんも俺のことを・・・そう思うと胸の鼓動が一気に早まった。
「でも、もう我慢しません・・・。小田島さんは管理者としての私ではなく、本当の私を受け止めてくれる・・・それがわかったから・・・」
「結衣ちゃん・・・」
「だから私の御主人様になってくれませんか?私をあなたの"雌犬"にしてください・・・」
結衣ちゃんの口からとんでもない発言が飛び出してきた。彼女は「管理者」を捨て、尚且つ俺を「主人」として認めたということだ。そう考えると俺の鼓動は最高潮に達し、息子もズボンの中で臨戦態勢を整えていた。その息子が結衣ちゃんの体に触れた。
「あは♪小田島さんのここは、OKって事みたいですね♪♪」
「はい・・・おっしゃるとおりでゴザイマス・・・」
なんだろう年下の女の子にこんなことされるのって・・・すごく恥ずかしいけど・・・
「嬉しいです♪小田島さんが私に欲情してくれることが♪」
そう言って結衣ちゃんは俺のズボンを脱がしはじめたそして姿を現す俺の息子・・・ええ、もう興奮してカッチカチですとも!ええ!!
「うわぁ・・・大きい・・・でも、ピクピクしてかわいい♪」
彼女は姿を現した準備万端な息子に触れ、うっとりとした表情を浮かべていた・・・小さいといわれるよりは100倍マシだが、かなり恥ずかしい・・・そもそも忘れそうだったが、ここは倉庫なのだ。この倉庫には今俺達しかいないが、もし、見回りの人が来たら・・・
「ゆっ結衣ちゃん、せっせめて場所、変えないか?ここ、倉庫だし・・・」
「私、もう我慢できないです・・・早く・・・続きがしたいです・・」
潤んだ瞳で俺を見る・・・この瞳に逆らえそうもない・・・先程、雌犬宣言をしたばかりだが、結衣ちゃんは、俺に対して本能的に「管理」しようとしている・・・間違いなく俺は尻に敷かれるのだろうな・・・と俺は確信した。
「わかった・・・このまま続けよう・・・」
でもそれも悪くないな・・・腹を括った俺は結衣ちゃんにそう言った。
「はい♪」
嬉しそうに返答をした結衣ちゃんの尻尾はぶんぶん振られていた・・・
・・・やっぱりかわいいな・・・・
「小田島さん、先日の会議の議事録作成終わりました」
「ありがとう。いつもすまないね」
「いえ、それでは」
「あっ結衣ちゃん」
「はい」
「・・・今晩食事・・・どう?」
「・・・・・・はい///」
〜終わり〜
日本は世界的にもいち早く魔物娘を受け入れ、発展を遂げたいわば「魔物娘先進国」と呼ばれている。
そんな日本のオフィス街の一角に俺、小田島 悟史(おだじまさとし)が勤めている会社がある。
「小田島さん、例の資料の作成終わりました」
凛とした声の女性が俺に声をかけてきた。褐色の肌に紅い瞳、顔立ちは少し幼いが、大人びた雰囲気をしている。
「ありがとう。助かったよ」
「いえ、それでは」
そうして軽く会釈をして彼女はその場を去った。その去り際特徴である大きな「犬耳」と「尻尾」が少しだけ嬉しそうに振れていた・・・
そう、彼女は「人間」ではない。
彼女の名前は橘 結衣(たちばな ゆい) アヌビスという種族の魔物娘だ。
結衣ちゃんは今年の春入社したばかりの新入社員だ。ここ近年、魔物娘の社会進出は目覚しく、その能力を目に付けた各業種が優秀な魔物娘の獲得に奔走している。その中でも真面目で勤勉、管理を得意とするアヌビス種は将来の幹部候補生としてどの企業も採用に奔走しており、毎年人事部は他企業との争奪戦を繰り広げている。そんな争奪戦をうちの人事部が制し、結衣ちゃんが入社したわけだ。そういえば、去年結衣ちゃんの獲得祝いに俺も呼ばれたっけ・・・結衣ちゃんを獲得したことに対して会社から人事部に報奨金がでたらしい・・・。
入社して半年、彼女は期待を裏切らず非常に優秀であった。飲み込みを早く、嫌な顔せず気前良く仕事をこなしてくれる上、謙虚な姿勢から男女問わず先輩社員からも可愛がられている。そんな結衣ちゃんと俺は同じ部署であり、彼女の先輩でもある。当然さっきの様に資料作成をお願いしたり、面倒な仕事を一緒に手伝ってもらったりと何かとお世話になっている。お礼を言うと恥ずかしそうにはにかんだり、本人は無意識だろうが、耳や尻尾がふりふりしている。
・・・実にかわいらしい・・・
そんな姿見たさにわざと仕事を頼んだりする同僚もいる。本人にとっては迷惑な話だが、自分もその中の一人であるので、あまり強くも言えない・・・
時には雑談もするが、やはりアヌビスの性か、きっちりと仕事とプライベートの線を引いている。仕事もきっちりとこなし、ほぼ定時で帰宅している。そうなると中々お誘いもしづらい訳で・・・。たまに誘っても「いえ、今日は別の約束がありますので」と丁重にお断りされ続けている。
「俺って避けられてるかな・・・」そう感じて、最近凹んでいる・・・
そんな事を思っていた矢先、ある事件が起こった。
「橘君、ちょっといいかい?」
「はい」
ある日、結衣ちゃんが課長の加藤さんに呼び出された。
「この間の半期決算棚卸なんだが、どうもここだけ数字が合わなくてね・・・」
「えっそんな・・・先月まで納品した商品との誤差はありませんでした・・・」
「しかし、半年間のデータと納品書を見比べるとどうしても合わないんだよ」
結衣ちゃんは驚きの声を上げる。棚卸はうちの会社にある備品や商品を毎月すべて実際に数え、納品した内容と相違がないかをチェックする大事な仕事だ。こうした地道で確実性が求められる仕事は結衣ちゃんにはピッタリで、入社当初から任されていた。今まで問題なく業務をこなしていたが、それがどうも先月から今月までの間になんらかの理由で商品が一箱欠品してしまったらしい。しかも、決算の報告が迫っているためちょっと厄介な話のようだ。このことに対して動揺する結衣ちゃん。
そのやりとり聞いていた俺は課長に声を掛けた。
「課長、もう一度倉庫で数字を拾い直します。数え間違えや保管場所の間違い等の可能性も充分にありますし、決算報告まで少し時間をいただけないでしょうか?」
「ふむ、そうだね。では小田島君と橘君とで調査しなさい」
「わかりました」
「はい・・・」
こうして俺と結衣ちゃんは会社の倉庫へ向かうこととなった。
「よっと・・・ふう、結構あるな・・・・」
その日の昼から俺と結衣ちゃんは会社の倉庫へと赴いた。しかし、やはり課長のいった通り商品の数が合わなかった。そこで、俺達は会社とは別の倉庫へ行くことにした。俺達の会社はそれなりに大きな商社なので、大型の物流倉庫を借りているのだ。結衣ちゃんと調査では会社にあった在庫はこの物流倉庫から定期的に運び出されて補充されているらしい。先月から今月までの間でその補充は一回しか行われていない。とすればそのときに何らかのミスが生じたと思われるからだ。そこで商品の補充元である物流倉庫に出向いたという訳だ。
「私も初めてここに来たんですが、こんなにあるなんて・・・」
結衣ちゃんもかなり驚いているようだ。
「まあ、それなりの数の品物を扱っているからね」
豊富なラインナップがうちの会社の強みではあるが、今となっては仇となっているとしかいい様がない。学校の体育館程の広さもある倉庫一杯に大小様々な商品が棚ごとに箱詰めされて保管されている。その中から紛れ込んでいる例の商品を探し出さなければならないのだ。運悪くここの管理を担当している方が有休で休んでおり、詳しい場所がまったくわからない状態である。
「しょうがない、手分けして一つずつ確認していこう」
「わかりました」
こうして俺と結衣ちゃんは手分けして商品を探すことにした。
「はぁ・・・全然みつからないな・・・・」
「はい・・・・」
探し始めてはや数時間。商品は一向に見つからない・・・・。やはり会社あるのだろうか?ひょっとするとそもそも納品から違っていたのでは??こうして別の可能性も考えていたときだった。
「・・・・ごめんなさい・・・・」
突然結衣ちゃんが俺に謝ってきた。
「えっ?どっどうしたの??急に」
「私がミスしたばかりに小田島さんに迷惑を掛けてしましました・・・本当にゴメンナサイ・・・」
今にも泣き出しそうな結衣ちゃんを慌てて慰める。
「何いってるんだよ!全然そんなことないって!!大体俺なんかミスばっかで、課長から橘君を見習いなさい!なんて言われてるくらいなのに!!」
「でも、今回は私のミスです・・・もっともっと慎重に丁寧にやらなければならなかったのに・・・私・・・“管理者”失格です・・・ぐす・・・」
「結衣ちゃん・・・」
とうとう結衣ちゃんは泣き出してしまった。
"管理者"
学生時代に習ったが、アヌビスはあちらの世界の主人であった「ファラオ」から「管理者」としてピラミッドを守護する使命を与えられた存在だったという。今でこそ現代社会に溶け込んではいるが、その「管理者」としての誇りは失われることなく継承されている。それが現代社会でこうした仕事や様々な業種でアヌビスが活躍している要因なのだろう。
「大丈夫だよ。まだ諦めちゃいけないよ。それにこの世に完璧な人なんかいるもんか!もちろん管理者にもね!・・・だから、大丈夫だよ・・・」
泣きじゃくる結衣ちゃんを俺は抱きすくめる。一瞬びっくりしたようだが、すぐに僕に体を預けてくれた。
「管理者である前に結衣ちゃんは結衣ちゃんだろ??一人で抱え込まずに俺やみんなに助けを求めればいいんだよ。甘えていいんだよ。ね?」
まるで子供をあやすような言い方で俺は語りかける。
「・・・ひっく・・・おだ・・じま・・・・ひっく・・・さぁん・・・うわぁぁぁあぁあぁあんん!!!!!」
張り詰めたものがはじけたように結衣ちゃんは泣き出した。この娘はこの娘なりに気を張って、悩んで、一生懸命頑張ってきたんだな・・・
その時俺はこの娘を守ってあげたいと心の底から思った。
俺は結衣ちゃんが泣き止むまでずっと彼女を抱きしめていた・・・・・・・・
「うう・・・取り乱してすみませんでした・・・///」
「ははっ気にしないでよ。少しはすっきりした?」
「はい・・・何か重荷が取れた気がします・・・」
そう言って笑みを浮かべた。その笑顔は会社での造られた笑顔とは違い、結衣ちゃん本来の笑顔だった。
「さて、もうすぐ定時だし、今日はこれくらいにしよう」
時計を見ると既に午後5時をすぎており、この時期では薄暗くなりはじめてきていた。
「えっ・・・でも・・・」
「まだ、決算報告には時間があるし、担当の人がいるときにまた来ればいいさ」
「・・・はい・・・」
結衣ちゃんは諦めきれないという表情をしているが、俺の指示に従って出し入れしていた商品の箱等を片付けし始めた。
ガタン・・・グラッ・・・
・・・あっ!?
結衣ちゃんが片付けていた棚の上に置いてあった箱らしきものが、今にも落ちそうになっているのが眼に入った。このままでは結衣ちゃんに当たってしまう!!
「危ない!!」
「きゃっ!?」
咄嗟に俺は結衣ちゃんを庇うように体を乗り出す。
ガン!!
「痛ッ!?」
「小田島さん!?」
間一髪間に合い、結衣ちゃんではなく俺の背中に箱が当たった
「いてて・・・」
「大丈夫ですか!小田島さん!!」
「ああ、大丈夫だよ・・・それより結衣ちゃんに当たらなくてよかった」
「小田島さん・・・」
「しかし、一体何の箱なんだ・・・あ!!??」
「?小田島さん??」
「あ・・・あった!!あったよ結衣ちゃん!!」
「・・・あ!!」
その箱には「〜虜の果実石鹸〜」そう書かれていた。そう、俺達がずっと探していた足りなかった商品だった。
「・・・どうりで見つからないわけだ・・・あんなところに置いてあったんだから・・・」
倉庫の人には気をつける様にいっておかないとな・・・
「・・・・あの・・・・小田島さん・・・」
「ん・・・?」
「えっと・・・その・・・/////」
「・・・・あ!?」
咄嗟だった為、今俺は結衣ちゃんに覆いかぶさる状態になってしまっている・・・
「ごっごめん!!すぐに退くから!!」
グイッ
「えっ?」
離れようとした俺の両腕を結衣ちゃんが掴んでいた。
「あの・・・お礼・・・したいんです・・・」
「えっ?お礼??」
俺は言っている意味が良くわからず聞きなおそうとしたが・・・
「むぐぅ!?」
はむっ・・・・ちゅむ・・・・ちゅぱ・・・・ちゅぷ・・・・ちゅる・・・
突然結衣ちゃんに引き寄せられ、抱きしめられたたかと思うやいなや口を何かで塞がれた。あまりに急な出来事で、一瞬事態を飲み込めなかったが・・・結衣ちゃんが俺を引き寄せ、キスをしてきたのだと気づくのに少し時間を要した。
「ぷは!はぁ、はぁ・・・ゆっ結衣ちゃん・・・?」
「お礼、したいんです・・・いつも優しくて・・・いつもみんなに気を配って・・・そしてこんな私を受けてとめてくれた小田島さんに・・・」
結衣ちゃんは俺をそのまま仰向けに寝かせ、マウントポジションをとった様にまたがった状態で、まるで子犬が訴えかけるような瞳で僕を見つめていた・・・
「小田島さんに頼まれた仕事をこなした後に言ってもらえる"ありがとう"が凄く嬉しくて、ドキドキして・・・他の人じゃこんな風にならなくて・・・小田島さんの事が好きって気がついて・・・でも、ずっと恥ずかしくて・・・小田島さんにお誘いを受けても誤魔化して・・・」
なんということだ・・・結衣ちゃんが俺の誘いを断り続けたのは、俺を避けていたわけではなく、恥ずかしかったからだったのだ・・・しかも結衣ちゃんも俺のことを・・・そう思うと胸の鼓動が一気に早まった。
「でも、もう我慢しません・・・。小田島さんは管理者としての私ではなく、本当の私を受け止めてくれる・・・それがわかったから・・・」
「結衣ちゃん・・・」
「だから私の御主人様になってくれませんか?私をあなたの"雌犬"にしてください・・・」
結衣ちゃんの口からとんでもない発言が飛び出してきた。彼女は「管理者」を捨て、尚且つ俺を「主人」として認めたということだ。そう考えると俺の鼓動は最高潮に達し、息子もズボンの中で臨戦態勢を整えていた。その息子が結衣ちゃんの体に触れた。
「あは♪小田島さんのここは、OKって事みたいですね♪♪」
「はい・・・おっしゃるとおりでゴザイマス・・・」
なんだろう年下の女の子にこんなことされるのって・・・すごく恥ずかしいけど・・・
「嬉しいです♪小田島さんが私に欲情してくれることが♪」
そう言って結衣ちゃんは俺のズボンを脱がしはじめたそして姿を現す俺の息子・・・ええ、もう興奮してカッチカチですとも!ええ!!
「うわぁ・・・大きい・・・でも、ピクピクしてかわいい♪」
彼女は姿を現した準備万端な息子に触れ、うっとりとした表情を浮かべていた・・・小さいといわれるよりは100倍マシだが、かなり恥ずかしい・・・そもそも忘れそうだったが、ここは倉庫なのだ。この倉庫には今俺達しかいないが、もし、見回りの人が来たら・・・
「ゆっ結衣ちゃん、せっせめて場所、変えないか?ここ、倉庫だし・・・」
「私、もう我慢できないです・・・早く・・・続きがしたいです・・」
潤んだ瞳で俺を見る・・・この瞳に逆らえそうもない・・・先程、雌犬宣言をしたばかりだが、結衣ちゃんは、俺に対して本能的に「管理」しようとしている・・・間違いなく俺は尻に敷かれるのだろうな・・・と俺は確信した。
「わかった・・・このまま続けよう・・・」
でもそれも悪くないな・・・腹を括った俺は結衣ちゃんにそう言った。
「はい♪」
嬉しそうに返答をした結衣ちゃんの尻尾はぶんぶん振られていた・・・
・・・やっぱりかわいいな・・・・
「小田島さん、先日の会議の議事録作成終わりました」
「ありがとう。いつもすまないね」
「いえ、それでは」
「あっ結衣ちゃん」
「はい」
「・・・今晩食事・・・どう?」
「・・・・・・はい///」
〜終わり〜
12/05/08 00:37更新 / KOJIMA
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