中編
「さっここだ」
酒場を出た僕とスウェンさんは目的地へとやってきた。
多くの娼館が立ち並ぶ中の一角、その中でも一際輝きを放っているような気がした。
娼館 「テンダー」
これがこの店の名前らしい。
「さあ、入ろうぜ」
「はい」
「いらっしゃませ。ようこそテンダーへ」
店長とおぼしき(僕よりも若くみえる)男性がはきはきとした声で入店の挨拶をしてきた。
「よう、ジャック」
スウェンさんが店長?に声をかけた。声のかけ方からどうやら知り合いらしい。
「ああ、スウェンか。」
「ケイ、紹介するよ。ここ娼館テンダーの店長代理ジャックだ。俺の幼馴染で
今はギルドのプロジェクトに協力をしてもらっているお得意様なんだ」
なるほど、そういうことか。スウェンさんはギルドの業務請負の窓口を増やすプロジェクトをやっているって言ってたな。
「初めまして、ケイ=アインラントといいます」
「ここ娼館テンダーの店長代理のジャック=オルレアンです。よろしく。」
「まあ、訳あって店長代理って肩書きなんだよな?」
「まあね、もとは奥さんがきりもりしてたんだけど、今執筆活動中でとても店まで手が回らない状態だから、僕が店長代理ってことで仕切らせてもらってるんだ」
「そうなんですか」
「前店長のルゥさん、つまりこいつの奥さんはこの娼館でもNo.3として時々お客をとってたらしいが、こいつが11の時にルゥさんが手を出したらしくてな、それから数年後に結婚して以降娼婦としては引退しちまったんだ。いや〜あん時は本当にびっくりしたぜ〜」
「おいおい、その話は恥ずかしいから止めてくれ///」
・・・・・・今なんか凄い事をさらっと教えられたような・・・・・・
つまりジャックさんが11歳の時に奥さんのルゥさんが・・・・僕はちょっとゾッとした。
「おっと、無駄話しちまったな。さて本題だ。ジャック予約しておいた例の娘はいるか?」
ここで、スウェンさんはここに来た本来の目的をジャックさんに伝えた。
「ああ、もちろんだよ。うちのNo.1ディオーレとNo.2のパッソールだろ?まったく、もっと事前に連絡してくれよ?」
「いやいや、わりぃわりぃ。しかしさすがジャックだな!!早速ケイに写真みせてやってくれよ!!」
そういうとジャックさんがこの店のNo.1と2の人をの写真を見せてくれた。
「二人とも美人だろ?今日はお前が好きなほうを選べよ!」
「・・・・・・」
「おい?どうしたケイ??」
「あっ・・・いや・・・すみません、ちょっとさっきの酔いがまだ残ってるみたいで・・・」
「なんだよ〜だらしねえな〜〜。そんなんじゃ大事なとき立つ物もたたねえぞ!」
「ははは・・・」
下ネタで突っ込みをいれられてしまったが、本当のことを言うと酔いなんて吹き飛んでしまっていた。僕はジャックさんから渡された写真に釘付けになっていた。No.2の女性も確かに魅力的だけど、このNo.1のディオーレという名のサキュバスがとても魅力的であると同時に、写真からも伝わるサキュバスの妖艶さとは違う、「別」の魅力を感じた。
今思えばこの時がすべての “はじまり” だったのかもしれない。
「ディオーレなんてお前にピッタリだと思うが、どうだ??」
「えっ?でも・・・先輩が先に選んでくださいよ」
迷っていた僕は先輩に順番を譲ろうとしたが・・・
「俺はもうパッソールに決めちまったんだよ!」
と、選択肢を消されてしまっていた。
「・・・わかりました。僕はこのディオーレさんでお願いします」
「かしこまりました。それでは準備をいたしますので、先にお部屋に案内させていただきます。」
ジャックさんに連れられ、僕とスウェンさんはそれぞれの部屋へ案内された。
・・・・・・・・・・・・・なんだか緊張するな・・・・・・・・・・・・・
指名した娘が部屋に来るまでのほんの数分間、僕は案内された部屋のベッドに腰かけていた。部屋は広々とし、内装は落ち着いた雰囲気で、とても娼館のプレイルームとは思えない。それにジャックさんが別れ際こそっと僕にドリンクを渡してくれた。
「・・・これは??」
「ホルスタウロス印の『疲れをぶっ飛ばす神のドリンク』だよ。これは僕も愛用していて凄く効くんだ。君はスウェンの後輩だし大丈夫だとは思うけど、念の為に・・・ね?」
なんの「念」をいれるのだろう・・・?
そんなことをいわれるものだから、緊張が収まることはなかった。まあ、別に捕って喰われる訳ではないけれど、相手がサキュバスである以上、(別の意味で)喰われることには変わりなさそうだけど・・・何にせよこのお店のNO.1の人が相手だ。いったいどんなプレイをしてもらえるのかという期待もあいまみれてこの数分が十分にも二十分にも感じられていた・・・・・・と
コンコン
「・・・・・・・・・・・・!?」
僕のいる部屋がノックされた。緊張していた僕はその音に驚いてしまい、心拍数をさらに上昇させた。
コンコン
部屋から反応がない為か、再度ノックされた。いかん、いかん、平常心、平常心・・・
「どっどうぞ!」
「失礼いたします」
「・・・・・・」
そこには写真の通り・・・いや写真なんて比にならない美人、ディオーレがそこにいた。均整の取れたボディ、豊満なバスト、プロフィールに書いてあった通り、まさにお姉さん的な雰囲気であった。
「はじめまして。今晩お相手をさせていただきますディオーレと申します。宜しくお願いします」
にこっと彼女が微笑みながら自己紹介してくれた。
「こっこちらこそ、ケイと申します。よっよろしくお願います」
丁寧な挨拶にこっちも恐縮してしまい、思わずカミながら丁寧な挨拶をし、ディオーレを部屋に招きいれた。
「クス♪緊張なされているんですか?」
「いやあ、なんと言うか・・・その・・・写真以上に綺麗な方なので、見惚れちゃったんです・・・」
「ふふ♪嬉しいです」
そういってにこやかに笑みを浮かべるディオーレ。
綺麗だ・・・
こうした仕草や言葉ひとつひとつにまるで魅了の魔力がこめられているようだ。そうしてディオーレを招き入れた僕は、しばし他愛のない雑談をしていた。そのうちにいつしか最初の頃の緊張はすっかり解けていた。
「どうです?緊張はほぐれましたか?」
「え?あっ・・・はい・・・解れました・・・・」
「それは良かったです。緊張されたままでは、せっかくのこうした機会も満足できませんものね。私もそうした方には最初はこうしてゆっくりとリラックスしていただいてから御奉仕させていただくんです」
「はあ〜そんなことまで気を遣っているんですね」
サキュバスといえば、積極的かつ貪欲に男の精を求めてくるのが、一般的だと思っていたが、ディオーレにこれは一切あてはまらなかった。まるで淑女のような言動や気配りにサキュバスらしからぬ魅力を再認識した。
「ええ。私はこの娼館テンダーのNO.1なのですから」
と静かな口調ながら、その言葉からは自身と誇りが感じられた。ディオーレはプロの中のプロなんだと僕は感心しきりだ。
「さて、それでは・・・」
「えっ??」
急にディオーレの顔が僕に近づいてきた。そして・・・
「ちゅっ♪」
「!?」
ディオーレは僕の唇に軽いキスをした。
・・・突然のディオーレの行動に僕は思いっきり慌ててしまった。
「そろそろご奉仕させていただきます♪」
驚く僕をよそに、デイオーレはてきぱきと僕と自分の服を脱がし始めた。あっという間に僕とディオーレは生まれたままの姿になってしまった。さっきまでの行動が嘘の様な積極的な行動に僕の頭はオーバーヒート寸前だ。
「ディ、ディオーレさん・・・」
「ふふふ♪お互い“さん”付けはやめましょう・・・今から一夜限りの恋仲になるのですから・・・私のことはディオって呼んで」
酔いが覚めてしまったこともあってか、ディオーレに自分の裸を見られることが妙に恥ずかしく、顔がどんどん赤くなっていくのがわかる。
「あら?恥ずかしいの??ふふ♪こんなに顔を赤くしちゃって・・・可愛いわ、ケイ♪」
とちょっとだけ悪戯っぽく僕の顔をのぞき込んできた。そのせいで余計に顔が赤くなる。
「いやっ・・・そのっ・・・はい・・・。ディオーレさ・・・ディオみたいな綺麗な人に見られるとなんだか恥ずかしくて」
「もう、ケイってば♪」
僕の返答に対して本当に嬉しそうな表情をしてくれた。ディオーレは僕の言ったことに対してすべてを受け入れてくれる・・・。そんな気持ちにさせてくれる笑顔だ。
「お礼にたっぷり愛情こめてご奉仕してあげる♪大丈夫、私にすべて任せてくれればいいのよ♪♪」
「うん・・・」
まるで本当に年上のお姉さんの様なその言葉に、これ以上何の返答も思いつかなかった。僕はディオーレにすべてを任せよう・・・そう思った。
・・・・・・・・これが、お姉さん的献身プレイってやつか・・・・・・・・
こうして、ディオーレの「奉仕」がはじまった・・・・・・・・・・・・・。
「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・」
「うふふ♪気持ちよかった?」
「はぁ・・・はぁ・・・最高・・・です・・・」
息も絶え絶えに僕はディオーレに感想を漏らした。あれからディオーレは僕に対してあの言葉に嘘偽りなく最高の奉仕をしてくれた。文字通り精魂尽き果てるまで。今まで僕がスウェンさんに連れて行かれた娼館が比にならない程だ。
・・・・ジャックさんがあのドリンクをくれなかったらやばかったかも・・・
「うふふ♪嬉しい♪♪」
と満面の笑みでディオーレは僕にそう声を掛けた。その顔は僕の精のおかげであろう、今まで以上に艶々としていた。さすがサキュバス・・・。
「本当に気持ちよかったです。なんというか、さすがNO.1といわれるだけありますね。」
「ふふ♪♪ありがとう♪」
本当に最高だった。ディオーレをはじめきっと他の女の娘もかなりのレベルなのだろう。スウェンさんがとっておきというだけはある。今頃同じく余韻にひたっているであろうスウェンさんに僕は心の中でお礼を言った。
「ふぇっくしょん!!!」
「ちょっ何よ急に!汚いわね!!」
「ああ、スマン・・・急にくしゃみが出ちまったぜ。風邪かな?」
「まったく・・・ほら」
そういってパッソールは俺に寄り添ってきた
「おお、サンキュ。お前普段やプレイ中はあんなに態度でかいし、女王様気取りなのに、こういうときは優しいよな」
「なななっなにいってるのよ!!べっ別にあんたがくしゃみなんかして寒そうにしてるから大丈夫かな?なんて思ってないわよ!サービスよサービス!!指名してもらった以上は満足してもらわないといけないんだから!!!」
「はいはい、お前はプロの鏡ってことにしておくよ」
「わかってないでしょ!あんた!!」
「・・・ねえ、本当に、いいの??」
「ん?何が??」
「とぼけないで。・・・・・私を身請けするって話よ」
「今更何言ってんだよ?確かにまだジャックに正式には話していないが、もうほぼ決定事項だぜ?第一この間俺のプロポーズ受けたじゃねえか」
「あっ・・・う・・・それは・・・そうだけど・・・・・」
パッソールは顔を真っ赤にしてどもってしまったが、言葉を続ける。
「確かに嬉しかったわよ・・・でも、私なんかよりもスタイルのいい娘なんていっぱいいるし・・・可愛げないし・・・他を探せばいい娘なんていっぱいいるじゃない・・・なんで私を選んでくれたのか、わからないもん・・・」
「・・・・バーカ」 コツン
「イタっ!なにするのよ!!!」
スウェンはパッソールの額にデコピンをいれた。
「前もいったが、俺の中ではお前がNO.1なんだよ・・・お前しかいないんだよ・・・」
俺はパッソールに向き合い真剣な表情で言った。が、なんか恥かし・・・段々顔が暑くなってきた・・・
「何よ、そのクサい台詞。でも・・・・嬉しい・・・・」
そう言ってパッソールは嬉しそうにはにかんだ。
まったく、相変わらず強気なんだか弱気なんだかわかんない奴だな。自信家かと思いきや、これで結構回りと自分を比較してネガティブになっちまうこともある。こういうギャップやこうして時折みせてくれる笑顔が、俺がこいつを好きになった要員の一つだ。そんなところが可愛くて、愛おしくて、支えてやりたいって思ったんだ。どこまでいっても、俺の中ではパッソールがNO.1だ。
こいつとなら、ずっと退屈せずにやっていけそうだしな。
・・・ディオーレは完全にケイの好みだろうな。そう思って俺も予約を入れておいた訳だ。で、俺がパッソールを先に選んで選択肢をなくしておけば選ばざるをえないからな。
あいつも今頃満足してんじゃねぇかな?それにしても、そろそろあいつも女の一人くらい作れってんだ・・・まぁ、あいつはあいつなりにいろいろ悩んでるんだろうが、所詮あいつのことはあいつにしか解決できねえし、見守ってやるしかないな。まったく、出来の悪い後輩を持つと大変だぜ。
そう考えつつ俺はパッソールの温もりを感じながら、残りの時間を過ごした。
へっくし!!
「あら?ケイさん風邪ですか??」
「いや、大丈夫です・・・。」
突然くしゃみがでてしまった。誰か噂でもしたのかな??
「季節の変わり目ですし、気をつけてくださいね」
「はい、ありがとうございます」
そう僕を気遣ってくれるディオーレ。口調も丁寧な口調に戻っている。
「ピンポンパンポーン ディオーレさんのお客様〜、パッソールさんのお客様〜残り時間あと10分となりました〜。はぁ・・・私ももっと出番ほs(ブチ)」
あと10分か・・・
楽しい時間というのはすぐに過ぎ去ってしまうけど、これほどにあっという間で、心惜しいと思ったことはないだろう。
「もうそんな時間ですか・・・なんだか心惜しいですね」
ディオーレも僕が今考えていたことを口にした。一瞬ドキッとしたが、これはリップサービスだろう。しかし、こうしたさりげない事の積み重ねがディオーレさんをNo.1たらしめているのだろう。僕はこうした世界の奥深さとともに一つ勉強したと思った。
「そうですね、本当にあっという間でした・・・あの・・・本当に楽しかったです!優しくて、母性的で、でもすごくエッチで・・・ほっほんとうに好きになっちゃいました!!」
「え?」
・・・てっ何を言っているんだ僕は・・・!?いくら本音とはいえ、こんなことこと言ったら引いちゃうじゃないか!!
「・・・嬉しい♪」
しかし、ディオーレさんは僕の予想とはまったく違う言葉を発していた。
「そういっていただけるのは本当に嬉しいです・・・」
「え?あはは・・・(良かった)」
「それにしても、これだけの実力なら、きっと身請けの話とかもいっぱいあるんでしょうね」
そう、これだけの実力があるからこそ、この店のNo.1に君臨しているのだ。当然身請けの話だってあって然るべきであろう。
「確かに、身請けの話やプロポーズをされる方は今までたくさんいらっしゃました。けど、すべてお断りしているんです。」
「え?」
ディオーレの告白に僕は少し驚いた。しかし、ディオーレの性格からすれば、多額の金銭や薄っぺらい愛で身請けに来た男に簡単に心を動かされることは確かに無いだろう。こういう場所である以上、そうした輩も数多く存在しているのだろう。そしてディオーレの目にかなう男性がいなかったというこなのだろうか?もしくは意中の男性がいるのだろうか??
「もう、懲りたんです・・・」
「え?」
彼女はそうつぶやいたその一瞬彼女の表情がこれまでの明るいものから影を帯びた寂しそうなものに変わったのを僕は見逃さなかった。
懲りた?それはどういう意味なんだろう??
「あっ・・・もう時間ですね。そろそろいきましょうか」
「え?・・・あっはい」
そんなことを考えているうちにそろそろ残り時間がなくなろうとしていた。身支度を整えて僕とディオーレは部屋を後にした。ディオーレの顔はもう明るい顔に戻っていた。
テンダーの入り口まで一緒に手を繋いで歩いた後の別れ際、
「本日は御来店いただき誠にありがとうございました♪」
そう言っておもむろに僕に近づき、僕の手に何かを手渡した。
「?これは??」
「私の特別指名券です。次回来店時に無料で私を指名することができます♪」
「えっ!?そんな、受け取れませんよ!!」
「いいの。私の気持ちだから・・・ね?」
・・反則だ・・そんな目で見つめられちゃ、断れないじゃないか・・・・・
「わかりました・・・ありがたく頂戴します」
「うふふ♪ありがとう。」
そう言って離れ際に僕の頬に軽くキスして・・・
「またの御来店をお待ちしております♪」
ディオーレさんは僕に深々と頭を下げた。
「・・・また、来ます・・・」
そう言って店を後にした。ディオーレさんは僕の姿が見えなくなるまで店の前に立っていた・・・。
「よぉ!どうだった?」
先に店を出て待っていたスウェンさんが声を掛けてきた。
「はい・・・凄く・・・良かったです・・・」
いろんな意味で・・・
「だろ?やっぱりディオーレはお前にピッタリだと思ってたんだぜ!」
「ははは・・・」
「さあ!明日からもがんばろうぜケイ!!じゃあな!!!」
「はい!お疲れ様でした!!失礼します!!!」
そうして僕とスウェンさんは帰路についた。
「・・・こんなに満たされた気分はいつ以来だろう?」
自宅のベッドの中で僕はテンダーでの出来事を振り返っていた。テンダーでのディオーレさんの奉仕は人生で一番と言っても過言ではなかった。けれど、それだけではなかった。性的な欲求は今までいった娼館でも満たされていた。しかし、今回は違った。
その原因は間違いなくディオーレである。彼女は僕が今まで満たされることのなかった心の隙間を埋めてくれた。
そう、僕は彼女のことを「好き」なってしまった。
それに気づいた僕は彼女の事が気になってしょうがない。今までの人生で女性のことをこんな風に思ったのは初めてであろう。
そしてあの「券」をくれたということは・・・少なからず彼女もそう思っているのだろうか?とそう考えるだけで胸が熱くなる。でも、単なるサービスかもしれない。僕に対してそういった感情はないのでは??ましてや彼女は今まで数多くの身請け話を断っているのだ。むしろそう考えるのが妥当かもしれない。そう思うと急に不安になる。
いや、だめだ。ここで引いたらまた今までと同じだ。
・・・逃げちゃダメだ・・・
それに、「懲りた」という彼女の言葉も引っ掛かる・・・・・
もう一度会って、もう一度ちゃんとディオーレに伝えるんだ。
自分の気持ちを・・・
そう決意し、僕は眠りについた・・・
酒場を出た僕とスウェンさんは目的地へとやってきた。
多くの娼館が立ち並ぶ中の一角、その中でも一際輝きを放っているような気がした。
娼館 「テンダー」
これがこの店の名前らしい。
「さあ、入ろうぜ」
「はい」
「いらっしゃませ。ようこそテンダーへ」
店長とおぼしき(僕よりも若くみえる)男性がはきはきとした声で入店の挨拶をしてきた。
「よう、ジャック」
スウェンさんが店長?に声をかけた。声のかけ方からどうやら知り合いらしい。
「ああ、スウェンか。」
「ケイ、紹介するよ。ここ娼館テンダーの店長代理ジャックだ。俺の幼馴染で
今はギルドのプロジェクトに協力をしてもらっているお得意様なんだ」
なるほど、そういうことか。スウェンさんはギルドの業務請負の窓口を増やすプロジェクトをやっているって言ってたな。
「初めまして、ケイ=アインラントといいます」
「ここ娼館テンダーの店長代理のジャック=オルレアンです。よろしく。」
「まあ、訳あって店長代理って肩書きなんだよな?」
「まあね、もとは奥さんがきりもりしてたんだけど、今執筆活動中でとても店まで手が回らない状態だから、僕が店長代理ってことで仕切らせてもらってるんだ」
「そうなんですか」
「前店長のルゥさん、つまりこいつの奥さんはこの娼館でもNo.3として時々お客をとってたらしいが、こいつが11の時にルゥさんが手を出したらしくてな、それから数年後に結婚して以降娼婦としては引退しちまったんだ。いや〜あん時は本当にびっくりしたぜ〜」
「おいおい、その話は恥ずかしいから止めてくれ///」
・・・・・・今なんか凄い事をさらっと教えられたような・・・・・・
つまりジャックさんが11歳の時に奥さんのルゥさんが・・・・僕はちょっとゾッとした。
「おっと、無駄話しちまったな。さて本題だ。ジャック予約しておいた例の娘はいるか?」
ここで、スウェンさんはここに来た本来の目的をジャックさんに伝えた。
「ああ、もちろんだよ。うちのNo.1ディオーレとNo.2のパッソールだろ?まったく、もっと事前に連絡してくれよ?」
「いやいや、わりぃわりぃ。しかしさすがジャックだな!!早速ケイに写真みせてやってくれよ!!」
そういうとジャックさんがこの店のNo.1と2の人をの写真を見せてくれた。
「二人とも美人だろ?今日はお前が好きなほうを選べよ!」
「・・・・・・」
「おい?どうしたケイ??」
「あっ・・・いや・・・すみません、ちょっとさっきの酔いがまだ残ってるみたいで・・・」
「なんだよ〜だらしねえな〜〜。そんなんじゃ大事なとき立つ物もたたねえぞ!」
「ははは・・・」
下ネタで突っ込みをいれられてしまったが、本当のことを言うと酔いなんて吹き飛んでしまっていた。僕はジャックさんから渡された写真に釘付けになっていた。No.2の女性も確かに魅力的だけど、このNo.1のディオーレという名のサキュバスがとても魅力的であると同時に、写真からも伝わるサキュバスの妖艶さとは違う、「別」の魅力を感じた。
今思えばこの時がすべての “はじまり” だったのかもしれない。
「ディオーレなんてお前にピッタリだと思うが、どうだ??」
「えっ?でも・・・先輩が先に選んでくださいよ」
迷っていた僕は先輩に順番を譲ろうとしたが・・・
「俺はもうパッソールに決めちまったんだよ!」
と、選択肢を消されてしまっていた。
「・・・わかりました。僕はこのディオーレさんでお願いします」
「かしこまりました。それでは準備をいたしますので、先にお部屋に案内させていただきます。」
ジャックさんに連れられ、僕とスウェンさんはそれぞれの部屋へ案内された。
・・・・・・・・・・・・・なんだか緊張するな・・・・・・・・・・・・・
指名した娘が部屋に来るまでのほんの数分間、僕は案内された部屋のベッドに腰かけていた。部屋は広々とし、内装は落ち着いた雰囲気で、とても娼館のプレイルームとは思えない。それにジャックさんが別れ際こそっと僕にドリンクを渡してくれた。
「・・・これは??」
「ホルスタウロス印の『疲れをぶっ飛ばす神のドリンク』だよ。これは僕も愛用していて凄く効くんだ。君はスウェンの後輩だし大丈夫だとは思うけど、念の為に・・・ね?」
なんの「念」をいれるのだろう・・・?
そんなことをいわれるものだから、緊張が収まることはなかった。まあ、別に捕って喰われる訳ではないけれど、相手がサキュバスである以上、(別の意味で)喰われることには変わりなさそうだけど・・・何にせよこのお店のNO.1の人が相手だ。いったいどんなプレイをしてもらえるのかという期待もあいまみれてこの数分が十分にも二十分にも感じられていた・・・・・・と
コンコン
「・・・・・・・・・・・・!?」
僕のいる部屋がノックされた。緊張していた僕はその音に驚いてしまい、心拍数をさらに上昇させた。
コンコン
部屋から反応がない為か、再度ノックされた。いかん、いかん、平常心、平常心・・・
「どっどうぞ!」
「失礼いたします」
「・・・・・・」
そこには写真の通り・・・いや写真なんて比にならない美人、ディオーレがそこにいた。均整の取れたボディ、豊満なバスト、プロフィールに書いてあった通り、まさにお姉さん的な雰囲気であった。
「はじめまして。今晩お相手をさせていただきますディオーレと申します。宜しくお願いします」
にこっと彼女が微笑みながら自己紹介してくれた。
「こっこちらこそ、ケイと申します。よっよろしくお願います」
丁寧な挨拶にこっちも恐縮してしまい、思わずカミながら丁寧な挨拶をし、ディオーレを部屋に招きいれた。
「クス♪緊張なされているんですか?」
「いやあ、なんと言うか・・・その・・・写真以上に綺麗な方なので、見惚れちゃったんです・・・」
「ふふ♪嬉しいです」
そういってにこやかに笑みを浮かべるディオーレ。
綺麗だ・・・
こうした仕草や言葉ひとつひとつにまるで魅了の魔力がこめられているようだ。そうしてディオーレを招き入れた僕は、しばし他愛のない雑談をしていた。そのうちにいつしか最初の頃の緊張はすっかり解けていた。
「どうです?緊張はほぐれましたか?」
「え?あっ・・・はい・・・解れました・・・・」
「それは良かったです。緊張されたままでは、せっかくのこうした機会も満足できませんものね。私もそうした方には最初はこうしてゆっくりとリラックスしていただいてから御奉仕させていただくんです」
「はあ〜そんなことまで気を遣っているんですね」
サキュバスといえば、積極的かつ貪欲に男の精を求めてくるのが、一般的だと思っていたが、ディオーレにこれは一切あてはまらなかった。まるで淑女のような言動や気配りにサキュバスらしからぬ魅力を再認識した。
「ええ。私はこの娼館テンダーのNO.1なのですから」
と静かな口調ながら、その言葉からは自身と誇りが感じられた。ディオーレはプロの中のプロなんだと僕は感心しきりだ。
「さて、それでは・・・」
「えっ??」
急にディオーレの顔が僕に近づいてきた。そして・・・
「ちゅっ♪」
「!?」
ディオーレは僕の唇に軽いキスをした。
・・・突然のディオーレの行動に僕は思いっきり慌ててしまった。
「そろそろご奉仕させていただきます♪」
驚く僕をよそに、デイオーレはてきぱきと僕と自分の服を脱がし始めた。あっという間に僕とディオーレは生まれたままの姿になってしまった。さっきまでの行動が嘘の様な積極的な行動に僕の頭はオーバーヒート寸前だ。
「ディ、ディオーレさん・・・」
「ふふふ♪お互い“さん”付けはやめましょう・・・今から一夜限りの恋仲になるのですから・・・私のことはディオって呼んで」
酔いが覚めてしまったこともあってか、ディオーレに自分の裸を見られることが妙に恥ずかしく、顔がどんどん赤くなっていくのがわかる。
「あら?恥ずかしいの??ふふ♪こんなに顔を赤くしちゃって・・・可愛いわ、ケイ♪」
とちょっとだけ悪戯っぽく僕の顔をのぞき込んできた。そのせいで余計に顔が赤くなる。
「いやっ・・・そのっ・・・はい・・・。ディオーレさ・・・ディオみたいな綺麗な人に見られるとなんだか恥ずかしくて」
「もう、ケイってば♪」
僕の返答に対して本当に嬉しそうな表情をしてくれた。ディオーレは僕の言ったことに対してすべてを受け入れてくれる・・・。そんな気持ちにさせてくれる笑顔だ。
「お礼にたっぷり愛情こめてご奉仕してあげる♪大丈夫、私にすべて任せてくれればいいのよ♪♪」
「うん・・・」
まるで本当に年上のお姉さんの様なその言葉に、これ以上何の返答も思いつかなかった。僕はディオーレにすべてを任せよう・・・そう思った。
・・・・・・・・これが、お姉さん的献身プレイってやつか・・・・・・・・
こうして、ディオーレの「奉仕」がはじまった・・・・・・・・・・・・・。
「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・」
「うふふ♪気持ちよかった?」
「はぁ・・・はぁ・・・最高・・・です・・・」
息も絶え絶えに僕はディオーレに感想を漏らした。あれからディオーレは僕に対してあの言葉に嘘偽りなく最高の奉仕をしてくれた。文字通り精魂尽き果てるまで。今まで僕がスウェンさんに連れて行かれた娼館が比にならない程だ。
・・・・ジャックさんがあのドリンクをくれなかったらやばかったかも・・・
「うふふ♪嬉しい♪♪」
と満面の笑みでディオーレは僕にそう声を掛けた。その顔は僕の精のおかげであろう、今まで以上に艶々としていた。さすがサキュバス・・・。
「本当に気持ちよかったです。なんというか、さすがNO.1といわれるだけありますね。」
「ふふ♪♪ありがとう♪」
本当に最高だった。ディオーレをはじめきっと他の女の娘もかなりのレベルなのだろう。スウェンさんがとっておきというだけはある。今頃同じく余韻にひたっているであろうスウェンさんに僕は心の中でお礼を言った。
「ふぇっくしょん!!!」
「ちょっ何よ急に!汚いわね!!」
「ああ、スマン・・・急にくしゃみが出ちまったぜ。風邪かな?」
「まったく・・・ほら」
そういってパッソールは俺に寄り添ってきた
「おお、サンキュ。お前普段やプレイ中はあんなに態度でかいし、女王様気取りなのに、こういうときは優しいよな」
「なななっなにいってるのよ!!べっ別にあんたがくしゃみなんかして寒そうにしてるから大丈夫かな?なんて思ってないわよ!サービスよサービス!!指名してもらった以上は満足してもらわないといけないんだから!!!」
「はいはい、お前はプロの鏡ってことにしておくよ」
「わかってないでしょ!あんた!!」
「・・・ねえ、本当に、いいの??」
「ん?何が??」
「とぼけないで。・・・・・私を身請けするって話よ」
「今更何言ってんだよ?確かにまだジャックに正式には話していないが、もうほぼ決定事項だぜ?第一この間俺のプロポーズ受けたじゃねえか」
「あっ・・・う・・・それは・・・そうだけど・・・・・」
パッソールは顔を真っ赤にしてどもってしまったが、言葉を続ける。
「確かに嬉しかったわよ・・・でも、私なんかよりもスタイルのいい娘なんていっぱいいるし・・・可愛げないし・・・他を探せばいい娘なんていっぱいいるじゃない・・・なんで私を選んでくれたのか、わからないもん・・・」
「・・・・バーカ」 コツン
「イタっ!なにするのよ!!!」
スウェンはパッソールの額にデコピンをいれた。
「前もいったが、俺の中ではお前がNO.1なんだよ・・・お前しかいないんだよ・・・」
俺はパッソールに向き合い真剣な表情で言った。が、なんか恥かし・・・段々顔が暑くなってきた・・・
「何よ、そのクサい台詞。でも・・・・嬉しい・・・・」
そう言ってパッソールは嬉しそうにはにかんだ。
まったく、相変わらず強気なんだか弱気なんだかわかんない奴だな。自信家かと思いきや、これで結構回りと自分を比較してネガティブになっちまうこともある。こういうギャップやこうして時折みせてくれる笑顔が、俺がこいつを好きになった要員の一つだ。そんなところが可愛くて、愛おしくて、支えてやりたいって思ったんだ。どこまでいっても、俺の中ではパッソールがNO.1だ。
こいつとなら、ずっと退屈せずにやっていけそうだしな。
・・・ディオーレは完全にケイの好みだろうな。そう思って俺も予約を入れておいた訳だ。で、俺がパッソールを先に選んで選択肢をなくしておけば選ばざるをえないからな。
あいつも今頃満足してんじゃねぇかな?それにしても、そろそろあいつも女の一人くらい作れってんだ・・・まぁ、あいつはあいつなりにいろいろ悩んでるんだろうが、所詮あいつのことはあいつにしか解決できねえし、見守ってやるしかないな。まったく、出来の悪い後輩を持つと大変だぜ。
そう考えつつ俺はパッソールの温もりを感じながら、残りの時間を過ごした。
へっくし!!
「あら?ケイさん風邪ですか??」
「いや、大丈夫です・・・。」
突然くしゃみがでてしまった。誰か噂でもしたのかな??
「季節の変わり目ですし、気をつけてくださいね」
「はい、ありがとうございます」
そう僕を気遣ってくれるディオーレ。口調も丁寧な口調に戻っている。
「ピンポンパンポーン ディオーレさんのお客様〜、パッソールさんのお客様〜残り時間あと10分となりました〜。はぁ・・・私ももっと出番ほs(ブチ)」
あと10分か・・・
楽しい時間というのはすぐに過ぎ去ってしまうけど、これほどにあっという間で、心惜しいと思ったことはないだろう。
「もうそんな時間ですか・・・なんだか心惜しいですね」
ディオーレも僕が今考えていたことを口にした。一瞬ドキッとしたが、これはリップサービスだろう。しかし、こうしたさりげない事の積み重ねがディオーレさんをNo.1たらしめているのだろう。僕はこうした世界の奥深さとともに一つ勉強したと思った。
「そうですね、本当にあっという間でした・・・あの・・・本当に楽しかったです!優しくて、母性的で、でもすごくエッチで・・・ほっほんとうに好きになっちゃいました!!」
「え?」
・・・てっ何を言っているんだ僕は・・・!?いくら本音とはいえ、こんなことこと言ったら引いちゃうじゃないか!!
「・・・嬉しい♪」
しかし、ディオーレさんは僕の予想とはまったく違う言葉を発していた。
「そういっていただけるのは本当に嬉しいです・・・」
「え?あはは・・・(良かった)」
「それにしても、これだけの実力なら、きっと身請けの話とかもいっぱいあるんでしょうね」
そう、これだけの実力があるからこそ、この店のNo.1に君臨しているのだ。当然身請けの話だってあって然るべきであろう。
「確かに、身請けの話やプロポーズをされる方は今までたくさんいらっしゃました。けど、すべてお断りしているんです。」
「え?」
ディオーレの告白に僕は少し驚いた。しかし、ディオーレの性格からすれば、多額の金銭や薄っぺらい愛で身請けに来た男に簡単に心を動かされることは確かに無いだろう。こういう場所である以上、そうした輩も数多く存在しているのだろう。そしてディオーレの目にかなう男性がいなかったというこなのだろうか?もしくは意中の男性がいるのだろうか??
「もう、懲りたんです・・・」
「え?」
彼女はそうつぶやいたその一瞬彼女の表情がこれまでの明るいものから影を帯びた寂しそうなものに変わったのを僕は見逃さなかった。
懲りた?それはどういう意味なんだろう??
「あっ・・・もう時間ですね。そろそろいきましょうか」
「え?・・・あっはい」
そんなことを考えているうちにそろそろ残り時間がなくなろうとしていた。身支度を整えて僕とディオーレは部屋を後にした。ディオーレの顔はもう明るい顔に戻っていた。
テンダーの入り口まで一緒に手を繋いで歩いた後の別れ際、
「本日は御来店いただき誠にありがとうございました♪」
そう言っておもむろに僕に近づき、僕の手に何かを手渡した。
「?これは??」
「私の特別指名券です。次回来店時に無料で私を指名することができます♪」
「えっ!?そんな、受け取れませんよ!!」
「いいの。私の気持ちだから・・・ね?」
・・反則だ・・そんな目で見つめられちゃ、断れないじゃないか・・・・・
「わかりました・・・ありがたく頂戴します」
「うふふ♪ありがとう。」
そう言って離れ際に僕の頬に軽くキスして・・・
「またの御来店をお待ちしております♪」
ディオーレさんは僕に深々と頭を下げた。
「・・・また、来ます・・・」
そう言って店を後にした。ディオーレさんは僕の姿が見えなくなるまで店の前に立っていた・・・。
「よぉ!どうだった?」
先に店を出て待っていたスウェンさんが声を掛けてきた。
「はい・・・凄く・・・良かったです・・・」
いろんな意味で・・・
「だろ?やっぱりディオーレはお前にピッタリだと思ってたんだぜ!」
「ははは・・・」
「さあ!明日からもがんばろうぜケイ!!じゃあな!!!」
「はい!お疲れ様でした!!失礼します!!!」
そうして僕とスウェンさんは帰路についた。
「・・・こんなに満たされた気分はいつ以来だろう?」
自宅のベッドの中で僕はテンダーでの出来事を振り返っていた。テンダーでのディオーレさんの奉仕は人生で一番と言っても過言ではなかった。けれど、それだけではなかった。性的な欲求は今までいった娼館でも満たされていた。しかし、今回は違った。
その原因は間違いなくディオーレである。彼女は僕が今まで満たされることのなかった心の隙間を埋めてくれた。
そう、僕は彼女のことを「好き」なってしまった。
それに気づいた僕は彼女の事が気になってしょうがない。今までの人生で女性のことをこんな風に思ったのは初めてであろう。
そしてあの「券」をくれたということは・・・少なからず彼女もそう思っているのだろうか?とそう考えるだけで胸が熱くなる。でも、単なるサービスかもしれない。僕に対してそういった感情はないのでは??ましてや彼女は今まで数多くの身請け話を断っているのだ。むしろそう考えるのが妥当かもしれない。そう思うと急に不安になる。
いや、だめだ。ここで引いたらまた今までと同じだ。
・・・逃げちゃダメだ・・・
それに、「懲りた」という彼女の言葉も引っ掛かる・・・・・
もう一度会って、もう一度ちゃんとディオーレに伝えるんだ。
自分の気持ちを・・・
そう決意し、僕は眠りについた・・・
10/11/23 12:52更新 / KOJIMA
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