5.ダンピール(医者)
僕の名前は上月 和也(こうづき かずや)。どこにでもいるごく普通のサラリーマンだ。最近の多忙で体がだるく、疲れが取れない日が続いていた僕は一度医者に見てもらいたいと思っていたが、日中は忙しく病院へ行く暇もなかなかない。そこでインターネットで休日診療をしている病院を探していたところ思いのほか自宅の近くに対応可能な病院あった為、次の休みにいってみることにした。
「ここか・・・」
〜紅木(あかぎ)医院〜
ここがその病院だ。外観はよくある戸建住宅を改造した開業院の外観であったが・・・
ウイーン
「・・・・・・」
自動ドアを超えて中に入ると、外観とは裏腹に院長の趣味なのか、ヨーロッパのお城の様な内装が施されており、インテリア等もまるで中世のお城の中のようだ。
「(ここ・・・本当に病院か・・・??)」
若干の不安を覚え始めたその時・・・
「こんにちは〜♪」
「!」
声を掛けられハッとした僕が振り返るとそこには看護士さん・・・というよりは看護士さんの服を着て”ごっご”遊びをしている様に見えてしまう幼い女性がそこにいた。
「ん〜と、診察希望の方ですよね〜?」
「はっはい・・・」
「わかりましたぁ〜では保険証の提出とこちらに記入をお願いしますぅ〜♪」
口調はまるで子供の様であるが、手際よく僕に診療に必要な事項を伝えている辺りが様になっていることからごっごではなく、本当に看護士さんの様だ。
よくよく見ると彼女の背中からは蝙蝠のような羽、お尻からは尻尾が生えていた。さらに彼女の髪の色が白みかかっている事から、どうやら彼女はアークインプの様だ。
そうこうしている内に必要事項を用紙に書き込み、彼女に渡した。
「ありがとうございますぅ〜ではそちらにおかけになってお待ちください〜♪」
診察の手続きをした後、順番が来るまでまだ少し時間がかかるそうなので、近くのソファーに腰をかけて時間をつぶしていた。ソファーも普通のソファーではなくなかなかの高級なソファーなのか座り心地が良いのだが、内装が豪華すぎてなんだか落ち着かない・・・よく見ると僕の様な人間もいるが、魔物娘も結構多いみたいだった。そういえばこの病院は魔物診療可って書いてあったっけ・・・
人間よりも体の造りが頑丈な魔物娘は怪我をしたり病気になることは少ないそうだが、それでも魔物娘特有の病気もあるそうだし、魔物娘にとってはありがたいだろう。
「上月さん〜上月和也さん〜」
やがて呼び出しがされた僕は診察室の扉を開けて中に入った
「やあ、こんにちは」
「・・・・・」
中いたのは女医さんだった。"とびきり美人"の
「・・・?どうかしたのかい??」
「いっいえ・・・なんでもありません」
目の前の美人女医に思わず魅入ってしまっていた。ポニーテールにされた鮮やかな金髪、少しつりあがった目じりと宝石の様な紅い瞳、その瞳にかかっている眼鏡と白衣が知性を感じさせる・・・。僕は慌てて用意された椅子に座る。
「ではあらためて紅木だ。よろしく。」
「上月です・・・よっよろしくお願いします」
「こちらこそ。」
「・・・・・・」
「・・・大丈夫かい?さっきからぼーとしているけど・・・問診票にも疲れ気味と書いてあった様だが・・・」
「はっ!?ごめんなさい!つい・・・」
「つい?」
にこりと微笑む紅木先生に僕は魅了されていました・・・とは口が裂けてもいえない。
「いっいえなんでもありません!そっそれよりも紅木って事はひょっとして・・・」
「ああ、そうだよ私はこの医院の医師兼院長だよ」
「すごいですね・・・・・・開業医って病院で何十年も勤めてからするものとばかり思ってたので・・・」
「私がそんな歳にみえるかい?」
「あっいやそんなつもりは!?」
「はははっごめんごめん冗談だよ。確かに以前は違う病院に勤めていたけど、最近私の両親が経営していたこの医院を私が継いだんだよ。だから近いうちに内装なんかも変えようって思っているんだよね。これじゃ私も患者も落ち着かないだろうからね」
「へ〜・・・そうなんですか・・・(この落ち着かない内装は先生の両親の趣味なのか・・・)」
「さてと、だいぶ話が脱線してしまったけど、そろそろ診察に入ろうか。問診票には最近体がだるくて疲れが取れにくいということだけど、いつからそう感じるようになったんだい?」
「はい・・・疲れを感じる様になったのは・・・」
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふむふむ、だいぶわかってきたよ」
「そうですか」
「よし、念のため血液検査をして体に異常がないか調べよう」
「はい」
血液検査・・・ってことは注射針を腕にさすだろうと思い、僕は着ているカッターの腕をまくった
「あっ腕は出さなくてもいいよ。」
「えっ?じゃあどうやって血液を採取すr」
「こうするんだよ・・・」
ススッ・・・突然紅木先生が立ち上がり僕の目の前にやってきた
「うわ・・・!?」
「そのまま動かないでくれ」
「はっはい・・・」
先生の言葉を聞いた僕はまるで金縛りにあったように体を動かすことができない・・・どんどん迫ってくる紅木先生の顔がほんのり紅く染まっている様にみえるには気のせいだろうか・・・このままでは先生と僕の顔が・・・いや唇が・・・と思ったその時
「あむっ♪」
「えっ・・・?」
「んっ・・・ちゅうううう・・・」
「う・・・あ・・・せっ先生・・・」
紅木先生は僕の顔ではなく首筋に顔を埋め、牙を突き立てた。チクリと一瞬首筋に痛みが走ったが、次の瞬間には痛みではなく牙をつきたてられた首筋から全身へ快楽が送り込まれていく・・・気持ちいい・・・
「ちゅううう・・・ふう・・・おいし♪・・・じゃなくて」
先生は僕の首筋から牙を離し、すぐにガーゼを首筋に貼り付け止血をし、再びカルテを記入しだす。
「ふむふむ・・・思っていたよりはそれほど酷くはないようだね。疲れに良く効く栄養剤を出しておこう。ついでに今吸った時に君から疲労も吸い取ってあげたからさっきよりも楽になったと思うよ」
「・・・・・・」
僕はいきなりのいろんな事が一気に訪れたので思考停止状態になってしまった・・・
「おーい?聞いてるかい??」
「!?はっ・・・はい!!いきなりだったので少しびっくりしてました・・・」
「・・・驚くのも無理は無いかな?私は”ダンピール”なんだよ」
「ダンピール・・・」
ダンピールっていえば、ヴァンパイアと人間との間にできた子供・・・半人半魔なんていわれたりもするヴァンパイアの亜種・・・だったよな・・・?
「見ての通り、外見は人間とあまり変わらないしヴァンパイアとは違いこうして日の高い時間でもこうして活動したり水やニンニクも平気なんだよ。ただ・・・」
「ただ・・・?」
「こうしてヴァンパイアの様に無性に血を求めてしまう時があるんだ・・・」
「医者という職業柄血を見る機会も多くてね・・・血をみるとうずいてしまうんだ・・・半分流れているヴァンパイアの血がそうした衝動を起こさせるんだよ・・・もっとも、無差別に襲い掛かる程の物ではないけどね・・・まあ、それが原因で勤めていた病院から追い出されて実家の医院を継いだって訳さ」
「そうだったんですか・・・」
「普段だって採血はちゃんと器具を使ってやっているんだが・・・自分でも分からないが何故か今日はその衝動が抑えられなかったんだ・・・私の牙で君の首筋を貫いて君の血に直接触れてみたいってね・・・いきなりこんな事をして君を怖がらせてしまったね。本当にすまない。」
紅木先生は先ほどまでの気さくな表情が嘘の様に悲しく本当に申し訳なさそうな顔をしていた。以前勤めていた病院を辞める理由になった吸血行為に対してトラウマになっているのかもしれない・・・だから僕は
「そんな・・・別に謝ることなんてないですよ!それどころか本当に疲れが取れて感謝したいくらいです。それに」
「それに?」
「先生にその・・・血を吸ってもらうのはすごく気持ちよかったし・・・もっと吸ってもらってもいいくらい・・・って僕は何を言ってるんだろ・・・」
「ふふふ・・・」
「あ・・・」
紅木先生は僕を見て微笑んでいた
「ああ・・・ごめん・・・でも、必死にフォローしてくれる君を見てなんだかとても嬉しくてね・・・君は・・・いい人だね・・・」
「ははっそれだけが取り柄なんで」
「ふふ・・・」
「ははは・・・」
「ねえ、上月君・・・」
「?何ですか??」
「もし・・・迷惑でなければだけど・・・」
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「こんにちは」
「やあ、いらっしゃい」
・・・あれ以来僕は紅木医院に通院を続けている。もちろん紅木先生のおかげで疲れも無くなり快適に生活できているのだが、いまだに通い続けているのには理由がある。
「先生、今日も・・・お願いします」
スッと首筋を先生に差し出す
「ああ・・・」
先生は僕の肩を掴み顔を首筋へ・・・
「その前に・・・」
「え?」
チュッ・・・♪
「あ・・・」
先生の唇が首筋ではなく僕の唇に・・・
「いきなりってのも何だし、まずはキスから・・・ね♥あと、先生は禁止だっていったじゃないか。ちゃんと理沙(りさ)って呼んでくれ」
「あっごめんなさい・・・」
「ふふ♪そんなにシュンとしなくてもいいさ」
そう言って理沙さんは僕にしなだれかかってくる・・・
・・・あの日僕は紅木先生・・・もとい理沙さんからあるお願いをされた。
「これからも私に君の血を飲ませてくれないかい?」
いきなりの理沙さんからの言葉に一瞬驚いたが、僕は
「はい、もちろんです!」
と、理沙さんの役にたてるならと僕は了承したのだ。
・・・この時僕はこの言葉に含まれた”もうひとつの意味”に気づいていなかった。
ダンピールは原種のヴァンパイアの様に吸血衝動にかられることがあるが、普段はそれを理性で抑えているのである。その理由はダンピールが血を飲むと性欲に対して抑えが効かなってしまうからだ。その為にダンピールが吸血する対象はということは、原則吸血した事によって変貌した自分を受け入れてくれる人間・・・つまり理沙さんは・・・
「これからも私のパートナーとしてそばにいてくれないかい?」
ということであったのだ・・・もっともそれに気づくのにさほど時間はかからなかったが・・・
「りっ理沙さん・・・」
「?どうかしたのかい?和也??」
「あの・・・これはどういうことでしょうか・・・?」
「何ってこれから診察するに決まっているじゃないか」
「いや・・・僕はあれ以来体調も良くて特になんとも・・・それに今日は理沙さんに血を吸ってもらいに」
「いやいや、疲労はすぐに溜まるからね。君から血をもらう対価として、和也が疲労を感じない様にできる方法を見つけないとね♪」
「じゃあ何故僕でベッドに寝かされているのでしょうか・・・しかも何か見えない力で手足がまったく動かないのですが・・・」
「だって服を着ていたら触診ができないじゃないか?それにもしかしたら触診中に君が暴れるかもしれないから念の為に魔力で君の手足を固定しているのさ。魔医学じゃ初歩の技術だよ??」
「暴れるってどういう・・・それに魔医学についてはさっぱりわかりませんが・・・触診の為に全裸になる必要があるのもそうなんでしょうか・・・?」
「私は基本的に全身を診ないと気がすまないたちなんだよ♪」
「そっそうなんですか・・・」
「さて、そろそろ診察を開始しようかな♪(キラリ)」
「あの〜理沙さん?その手に持たれている注射器はナンデショウカ?」
「おお、気がついたかい?この注射器の中には魔界から取りよせた"アルラウネの蜜を凝縮した即効性の精力剤"がはいっているんだよ。こっちでまだ認可されていないけどね♪」
「思いっきり禁止薬物じゃないですか!?」
「まあ、私と和也との愛の営みに使用するのだから問題ないだろう♥」
「問題大アリです!!」
「まあ、そんな些細な事は置いておいて・・・ちょっとチクっとするよ・・・」
「・・・!?」
必死に抵抗してはみるが、まったく手足は動かない・・・やがて左腕に注射器が刺され、精力剤が体内へ送り込まれていく・・・
「あ・・・ああ・・・あああ・・・!?!?」
理沙さんが言っていたようにすぐに体に変化が起きてきた・・・体中が熱くなり、その熱が僕の股間へと集まっていくのが手に取るようにわかり、送り込まれた熱に呼応するかの様に僕のアソコがすぐさま臨戦態勢へと入った。
「おお〜♪凄いね♪♪ビクンビクンて跳ね回っているじゃないか♪」
「ああ・・・理沙・・さん・・・」
「はあ・・・もう我慢できそうにないよ・・・それじゃあ診察を開始しようじゃないか♪まずはここから・・・」
「あっ!?みっ美紗さん!?!?!そこ・・ダメ・・・あっああっっア!?ああああああああああアアアアアアアアーーーーーーーーーーー!?!?!!??!?!?」
・・・とまあこんな具合にその日僕達はの本当の意味での”初診”をし、僕は採血800CC(献血2回相当)、絶頂回数?回(10回から数えるのをやめた)、僕と理沙さんはめでたく二人そろって処女or童貞喪失という素晴らしい診断結果が出たのだった・・・こうして晴れて僕と理沙さんは恋仲となったわけであるが・・・
「理沙さん、まだ診療時間中ですよ・・・」
こうしてまだ診療時間中にも関わらず、欲望のままに僕を求めてくるのだ。
「じゃあ午後からは臨時休業にしちゃおう♪」
「ははは・・・」(理沙さんには敵わないなあ)
こうして僕達は日が暮れるまで二人だけの特別な診察”をはじめたのだった・・・
〜おわり〜
「ここか・・・」
〜紅木(あかぎ)医院〜
ここがその病院だ。外観はよくある戸建住宅を改造した開業院の外観であったが・・・
ウイーン
「・・・・・・」
自動ドアを超えて中に入ると、外観とは裏腹に院長の趣味なのか、ヨーロッパのお城の様な内装が施されており、インテリア等もまるで中世のお城の中のようだ。
「(ここ・・・本当に病院か・・・??)」
若干の不安を覚え始めたその時・・・
「こんにちは〜♪」
「!」
声を掛けられハッとした僕が振り返るとそこには看護士さん・・・というよりは看護士さんの服を着て”ごっご”遊びをしている様に見えてしまう幼い女性がそこにいた。
「ん〜と、診察希望の方ですよね〜?」
「はっはい・・・」
「わかりましたぁ〜では保険証の提出とこちらに記入をお願いしますぅ〜♪」
口調はまるで子供の様であるが、手際よく僕に診療に必要な事項を伝えている辺りが様になっていることからごっごではなく、本当に看護士さんの様だ。
よくよく見ると彼女の背中からは蝙蝠のような羽、お尻からは尻尾が生えていた。さらに彼女の髪の色が白みかかっている事から、どうやら彼女はアークインプの様だ。
そうこうしている内に必要事項を用紙に書き込み、彼女に渡した。
「ありがとうございますぅ〜ではそちらにおかけになってお待ちください〜♪」
診察の手続きをした後、順番が来るまでまだ少し時間がかかるそうなので、近くのソファーに腰をかけて時間をつぶしていた。ソファーも普通のソファーではなくなかなかの高級なソファーなのか座り心地が良いのだが、内装が豪華すぎてなんだか落ち着かない・・・よく見ると僕の様な人間もいるが、魔物娘も結構多いみたいだった。そういえばこの病院は魔物診療可って書いてあったっけ・・・
人間よりも体の造りが頑丈な魔物娘は怪我をしたり病気になることは少ないそうだが、それでも魔物娘特有の病気もあるそうだし、魔物娘にとってはありがたいだろう。
「上月さん〜上月和也さん〜」
やがて呼び出しがされた僕は診察室の扉を開けて中に入った
「やあ、こんにちは」
「・・・・・」
中いたのは女医さんだった。"とびきり美人"の
「・・・?どうかしたのかい??」
「いっいえ・・・なんでもありません」
目の前の美人女医に思わず魅入ってしまっていた。ポニーテールにされた鮮やかな金髪、少しつりあがった目じりと宝石の様な紅い瞳、その瞳にかかっている眼鏡と白衣が知性を感じさせる・・・。僕は慌てて用意された椅子に座る。
「ではあらためて紅木だ。よろしく。」
「上月です・・・よっよろしくお願いします」
「こちらこそ。」
「・・・・・・」
「・・・大丈夫かい?さっきからぼーとしているけど・・・問診票にも疲れ気味と書いてあった様だが・・・」
「はっ!?ごめんなさい!つい・・・」
「つい?」
にこりと微笑む紅木先生に僕は魅了されていました・・・とは口が裂けてもいえない。
「いっいえなんでもありません!そっそれよりも紅木って事はひょっとして・・・」
「ああ、そうだよ私はこの医院の医師兼院長だよ」
「すごいですね・・・・・・開業医って病院で何十年も勤めてからするものとばかり思ってたので・・・」
「私がそんな歳にみえるかい?」
「あっいやそんなつもりは!?」
「はははっごめんごめん冗談だよ。確かに以前は違う病院に勤めていたけど、最近私の両親が経営していたこの医院を私が継いだんだよ。だから近いうちに内装なんかも変えようって思っているんだよね。これじゃ私も患者も落ち着かないだろうからね」
「へ〜・・・そうなんですか・・・(この落ち着かない内装は先生の両親の趣味なのか・・・)」
「さてと、だいぶ話が脱線してしまったけど、そろそろ診察に入ろうか。問診票には最近体がだるくて疲れが取れにくいということだけど、いつからそう感じるようになったんだい?」
「はい・・・疲れを感じる様になったのは・・・」
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふむふむ、だいぶわかってきたよ」
「そうですか」
「よし、念のため血液検査をして体に異常がないか調べよう」
「はい」
血液検査・・・ってことは注射針を腕にさすだろうと思い、僕は着ているカッターの腕をまくった
「あっ腕は出さなくてもいいよ。」
「えっ?じゃあどうやって血液を採取すr」
「こうするんだよ・・・」
ススッ・・・突然紅木先生が立ち上がり僕の目の前にやってきた
「うわ・・・!?」
「そのまま動かないでくれ」
「はっはい・・・」
先生の言葉を聞いた僕はまるで金縛りにあったように体を動かすことができない・・・どんどん迫ってくる紅木先生の顔がほんのり紅く染まっている様にみえるには気のせいだろうか・・・このままでは先生と僕の顔が・・・いや唇が・・・と思ったその時
「あむっ♪」
「えっ・・・?」
「んっ・・・ちゅうううう・・・」
「う・・・あ・・・せっ先生・・・」
紅木先生は僕の顔ではなく首筋に顔を埋め、牙を突き立てた。チクリと一瞬首筋に痛みが走ったが、次の瞬間には痛みではなく牙をつきたてられた首筋から全身へ快楽が送り込まれていく・・・気持ちいい・・・
「ちゅううう・・・ふう・・・おいし♪・・・じゃなくて」
先生は僕の首筋から牙を離し、すぐにガーゼを首筋に貼り付け止血をし、再びカルテを記入しだす。
「ふむふむ・・・思っていたよりはそれほど酷くはないようだね。疲れに良く効く栄養剤を出しておこう。ついでに今吸った時に君から疲労も吸い取ってあげたからさっきよりも楽になったと思うよ」
「・・・・・・」
僕はいきなりのいろんな事が一気に訪れたので思考停止状態になってしまった・・・
「おーい?聞いてるかい??」
「!?はっ・・・はい!!いきなりだったので少しびっくりしてました・・・」
「・・・驚くのも無理は無いかな?私は”ダンピール”なんだよ」
「ダンピール・・・」
ダンピールっていえば、ヴァンパイアと人間との間にできた子供・・・半人半魔なんていわれたりもするヴァンパイアの亜種・・・だったよな・・・?
「見ての通り、外見は人間とあまり変わらないしヴァンパイアとは違いこうして日の高い時間でもこうして活動したり水やニンニクも平気なんだよ。ただ・・・」
「ただ・・・?」
「こうしてヴァンパイアの様に無性に血を求めてしまう時があるんだ・・・」
「医者という職業柄血を見る機会も多くてね・・・血をみるとうずいてしまうんだ・・・半分流れているヴァンパイアの血がそうした衝動を起こさせるんだよ・・・もっとも、無差別に襲い掛かる程の物ではないけどね・・・まあ、それが原因で勤めていた病院から追い出されて実家の医院を継いだって訳さ」
「そうだったんですか・・・」
「普段だって採血はちゃんと器具を使ってやっているんだが・・・自分でも分からないが何故か今日はその衝動が抑えられなかったんだ・・・私の牙で君の首筋を貫いて君の血に直接触れてみたいってね・・・いきなりこんな事をして君を怖がらせてしまったね。本当にすまない。」
紅木先生は先ほどまでの気さくな表情が嘘の様に悲しく本当に申し訳なさそうな顔をしていた。以前勤めていた病院を辞める理由になった吸血行為に対してトラウマになっているのかもしれない・・・だから僕は
「そんな・・・別に謝ることなんてないですよ!それどころか本当に疲れが取れて感謝したいくらいです。それに」
「それに?」
「先生にその・・・血を吸ってもらうのはすごく気持ちよかったし・・・もっと吸ってもらってもいいくらい・・・って僕は何を言ってるんだろ・・・」
「ふふふ・・・」
「あ・・・」
紅木先生は僕を見て微笑んでいた
「ああ・・・ごめん・・・でも、必死にフォローしてくれる君を見てなんだかとても嬉しくてね・・・君は・・・いい人だね・・・」
「ははっそれだけが取り柄なんで」
「ふふ・・・」
「ははは・・・」
「ねえ、上月君・・・」
「?何ですか??」
「もし・・・迷惑でなければだけど・・・」
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「こんにちは」
「やあ、いらっしゃい」
・・・あれ以来僕は紅木医院に通院を続けている。もちろん紅木先生のおかげで疲れも無くなり快適に生活できているのだが、いまだに通い続けているのには理由がある。
「先生、今日も・・・お願いします」
スッと首筋を先生に差し出す
「ああ・・・」
先生は僕の肩を掴み顔を首筋へ・・・
「その前に・・・」
「え?」
チュッ・・・♪
「あ・・・」
先生の唇が首筋ではなく僕の唇に・・・
「いきなりってのも何だし、まずはキスから・・・ね♥あと、先生は禁止だっていったじゃないか。ちゃんと理沙(りさ)って呼んでくれ」
「あっごめんなさい・・・」
「ふふ♪そんなにシュンとしなくてもいいさ」
そう言って理沙さんは僕にしなだれかかってくる・・・
・・・あの日僕は紅木先生・・・もとい理沙さんからあるお願いをされた。
「これからも私に君の血を飲ませてくれないかい?」
いきなりの理沙さんからの言葉に一瞬驚いたが、僕は
「はい、もちろんです!」
と、理沙さんの役にたてるならと僕は了承したのだ。
・・・この時僕はこの言葉に含まれた”もうひとつの意味”に気づいていなかった。
ダンピールは原種のヴァンパイアの様に吸血衝動にかられることがあるが、普段はそれを理性で抑えているのである。その理由はダンピールが血を飲むと性欲に対して抑えが効かなってしまうからだ。その為にダンピールが吸血する対象はということは、原則吸血した事によって変貌した自分を受け入れてくれる人間・・・つまり理沙さんは・・・
「これからも私のパートナーとしてそばにいてくれないかい?」
ということであったのだ・・・もっともそれに気づくのにさほど時間はかからなかったが・・・
「りっ理沙さん・・・」
「?どうかしたのかい?和也??」
「あの・・・これはどういうことでしょうか・・・?」
「何ってこれから診察するに決まっているじゃないか」
「いや・・・僕はあれ以来体調も良くて特になんとも・・・それに今日は理沙さんに血を吸ってもらいに」
「いやいや、疲労はすぐに溜まるからね。君から血をもらう対価として、和也が疲労を感じない様にできる方法を見つけないとね♪」
「じゃあ何故僕でベッドに寝かされているのでしょうか・・・しかも何か見えない力で手足がまったく動かないのですが・・・」
「だって服を着ていたら触診ができないじゃないか?それにもしかしたら触診中に君が暴れるかもしれないから念の為に魔力で君の手足を固定しているのさ。魔医学じゃ初歩の技術だよ??」
「暴れるってどういう・・・それに魔医学についてはさっぱりわかりませんが・・・触診の為に全裸になる必要があるのもそうなんでしょうか・・・?」
「私は基本的に全身を診ないと気がすまないたちなんだよ♪」
「そっそうなんですか・・・」
「さて、そろそろ診察を開始しようかな♪(キラリ)」
「あの〜理沙さん?その手に持たれている注射器はナンデショウカ?」
「おお、気がついたかい?この注射器の中には魔界から取りよせた"アルラウネの蜜を凝縮した即効性の精力剤"がはいっているんだよ。こっちでまだ認可されていないけどね♪」
「思いっきり禁止薬物じゃないですか!?」
「まあ、私と和也との愛の営みに使用するのだから問題ないだろう♥」
「問題大アリです!!」
「まあ、そんな些細な事は置いておいて・・・ちょっとチクっとするよ・・・」
「・・・!?」
必死に抵抗してはみるが、まったく手足は動かない・・・やがて左腕に注射器が刺され、精力剤が体内へ送り込まれていく・・・
「あ・・・ああ・・・あああ・・・!?!?」
理沙さんが言っていたようにすぐに体に変化が起きてきた・・・体中が熱くなり、その熱が僕の股間へと集まっていくのが手に取るようにわかり、送り込まれた熱に呼応するかの様に僕のアソコがすぐさま臨戦態勢へと入った。
「おお〜♪凄いね♪♪ビクンビクンて跳ね回っているじゃないか♪」
「ああ・・・理沙・・さん・・・」
「はあ・・・もう我慢できそうにないよ・・・それじゃあ診察を開始しようじゃないか♪まずはここから・・・」
「あっ!?みっ美紗さん!?!?!そこ・・ダメ・・・あっああっっア!?ああああああああああアアアアアアアアーーーーーーーーーーー!?!?!!??!?!?」
・・・とまあこんな具合にその日僕達はの本当の意味での”初診”をし、僕は採血800CC(献血2回相当)、絶頂回数?回(10回から数えるのをやめた)、僕と理沙さんはめでたく二人そろって処女or童貞喪失という素晴らしい診断結果が出たのだった・・・こうして晴れて僕と理沙さんは恋仲となったわけであるが・・・
「理沙さん、まだ診療時間中ですよ・・・」
こうしてまだ診療時間中にも関わらず、欲望のままに僕を求めてくるのだ。
「じゃあ午後からは臨時休業にしちゃおう♪」
「ははは・・・」(理沙さんには敵わないなあ)
こうして僕達は日が暮れるまで二人だけの特別な診察”をはじめたのだった・・・
〜おわり〜
12/07/01 14:49更新 / KOJIMA
戻る
次へ